偶然には愛を (ページ16)

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*晃一side

『こーちゃん、私決めた』

晃｢お？何を？｣

急に顔を上げたもんやからそれにびっくりしてると、Aは決意を固めたような表情をしてそう言った

…まさか、諦めるとか言うんちゃうやろな？

ええやん、俺はお似合いやと思うで？

『なんかどうでも良くなってきた
このまま終わりたくないって思ったから、頑張ってみる』

…

は？

晃｢はぁ!?どういう風の吹き回しやねん！
え、ちょ、えぇ？なんで？｣

Aの思考回路がさっぱり分からんくて、俺の頭はショートした

まぁ止める権利は俺にはないから、否定する事もなんもできひんねんけど…

慎重そうなAがここまで勢いで行ってまうって事は、そんぐらい海が好きなんやろうか

ほんでこの切り替えの早さよ

恋のパワーってすごいな

『じゃ、私帰るね
こーちゃん、ごちそうさま！
またね！』

Aは俺が待て、と言う間もなく嵐のように店を出てった

晃｢お、おう…

てかあいつ、最初っから払う気なかったな…｣

カフェに1人取り残された俺は、そのままおかわりしたアイスコーヒーをゆっくり飲み干した

晃｢でも、進んでいってるんやな｣

そして突然心が踊り始めた俺は、予想外を含めたお会計を済まして店を出た

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自分でも急に何を言い出したのか分からなかった

でも、どうでも良くなっちゃったのは事実

ぐるぐる考えてると分かんなくなってきて、これが正解だなんて知らないけど、正解にするしかない

とりあえず、家に帰ろう

『ただいま』

相変わらず誰もいない家に呼びかけて、ベッドに飛び込んだ

学校は昼前に終わったのに、こーちゃんとこんなに暗くなる時間まで話してたんだ

やっぱりこーちゃんといるのは楽しい

『え〜明日雨降るの？』

寝転んだままテレビをつけると、午後5時のニュース番組の天気予報

うちの地域は明日、朝から晩まで雨が降るらしい

傘もって行かなきゃ

『…先生、今何してるのかな』

ふと考えるのは小笠原のこと

黒板の前に立つ小笠原、学校の廊下で見る小笠原

でも、私は1人の男としての素の小笠原を知っている

だから好きなんだ

禁断の扉をふと開けちゃったみたいな気持ち

…開けたからには、その先に何があるのかを知りたくて、私は扉の先を歩いていく

*