ドナドナ (ページ27)

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リノ「自己紹介も済んだことだし、次だな。まず…｣
リノ「この中で動けるやつはいるか？」
それは、銃で撃たれていないか？と、確かめているようなものだ。全員、座り込んでいる。銃で捕えられたことにまず違いない。
リノ「いないようだな。」
ガイウス「いや、俺が動ける。」
リノ「足をやられていないのか？なら丁度いい。柵を破ってこの箱の出口から、人間がいないか確認してくれ。」
ガイウス「わかった」
言われた通り、木の柵の脆いところをつきやぶり、出口へと向かった。誰もいないようだ。
ガイウス「人間はいないぞ」
リノ「よし。なら大丈夫だ。このままあと何日かはここにいて、足の回復を待とう」
ゲパルト「おいおい、そんなんで大丈夫なのか？クソザルもどきが来ないとも限らねえだうがよ。」
リノ「いや、大丈夫だろう。外にいた馬たちを見たろう？ああやって働かすには、足の回復が優先のはずだ。何日かは、こうやって餌と水を持っ来るてくるだけだろうよ。あとは、たまに来る見張りだが、それも大丈夫だろう。1人か2人でしかこないから、反撃可能だ。銃というかいうあれがなければの話だがな。」
「銃」という言葉に、全員が恐怖した。当たり前だ。あんなものが頭や腹に当たったら、死は免れられない。
リノ「まずは全員、傷が癒えるのを待とう。」
それからというもの、人間のくる回数は減ってきたように思えた。勿論、餌と水は貰えていたが、見張りのくる回数や時間は初日と比べると、はるかに減っていた。
ついに、全員がある程度動けるようになったその日、リノから計画を聞かされた。
リノ「これから、計画を説明する。まず、前にガイウスが開けた穴から、全員が外に出る。そして、ゲパルトがその奥へと走り出入口までの道を確保してほしい。人間がいたら即撤退だ。絶対にバレるなよ。そして、人間がいない道から箱を脱出。街から逃走、そして、自分たちの群れへと帰る。誰か、反対意見はあるか？」
返事はない。誰もが「脱出」という言葉に希望を見出していたはずだ。
リノ「誰もないようだな。なら、明日の夜に実行に移そう。」