【男主】I’ve never loved anyone like this.【センラ】 (ページ18)

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17話ページ18

「あともう少しで夏休みやん」

「せやな。海でも行くか？」

「いや、旅行やろ」

「海に？」

「何でそんな海にこだわる？」

冷房の効いた保健室。

そこに入り浸る俺。

村上は海がいいとの一点張りで中々譲らない。
まぁ、俺も海鮮好きやし海側がいいけど。

「お前、夏休み中やることないんか？」

「いや、特には、」

「そっか。俺も特にはないな。」

あっついお茶をズズっと啜っているとコンコンと扉を叩く音が。

村上が声をかけると扉が開き顔を覗かせたのは。

「ん？…あ、真野…どうしたん」

「りんりん……」

自分のクラスのHR委員、真野だった。

「どうした。ここ座り。」

「ありがとう……」

俺の引いた椅子に素直に座る真野。

具合が悪いって訳じゃなさそうやな。

俺や村上が様子を伺っていると突然泣き出し俺にもたれかかって来た。

「…っ、どうした真野、」

「せんせ…もうどないしよ………」

「どうした…？」

真野の話はこう。

うちの学校は夏休み前のテストで全教科赤点回避しないと、夏休みはびっちり夏期講習を入れられる。

真野は数学と生物を落としてしまったらしく夏期講習を入れられたらしい。

真野の両親は大学で教諭をしているらしく、夏期講習を受けると言った日には2週間は家に入れて貰えなくなりそうだとの事。

「…りんりん、何とかできへんかな……」

「何とかってそりゃぁ……」

ワンワンと泣き出す真野にあっけに取られていると村上が顎に手を当てながら口を開いた。

「夏休み入る前、もういっぺんだけ再テストあったやんな？それで赤点とらんかったら夏期講習取り消しにならんかったっけ？」

そうや。その手があった。

今年から救済制度として導入した夏休み前の再テスト。
テストと同じ分野のところから出題される問題で80点以上で合格のボーダーが引かれる。

それを真野に伝えると、露骨に嫌な顔をした。

「80点なんて取れへん、、、」

確かに今回のテストは難易度が高く、平均点も全体で65点を下回った。

そんなテストで80点以上。無理難題だ。

「私、りんりんの教科落とせばよかった……」

「何言うとんねん」

「やって、そうすれば教えて貰えたやん！！」

必死に訴える真野に村上がニヤッとしながらこう答えた。

「鈴木先生は学生時代、理系やよ」

「えっ」

「おまっ！」

「数学とか得意やったから教えてもらえばええんちゃう？」

そう笑う村上に真野は笑顔で俺に言った。

「りんりん！ありがとう！」

はいはい。もうどうにでもなれ。