【男主】I’ve never loved anyone like this.【センラ】 (ページ15)

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14話－村上side－ページ15

「……届けに行ってくる」

よくよく考えたら自分の弁当もないし。

再び立ち上がるとグイッと俺を引き寄せた。

「なんや、パシられたんか」

「……頼まれて、」

「それ全部やろ？自分食べるやつは？」

「俺、弁当やから……」

そう言うと鈴木は目を丸くした。

「手作り？コンビニ？」

「て、手作り…」

「母ちゃんか」

「いや、自分で…母さん働いてんねん」

「ほぇー！」

すると鈴木は俺の持っていたパンたちを半分ひったくるように取った。

「一緒に行くわ。」

「え、なんや、申し訳ない」

「ええねん、お前焼きそばパン譲ったんバレたらきっとやばいで？」

クスクスと笑いながら屋上から出ていく鈴木。

「どうしよ……」

「俺がついてる。てか、お前みたいな優しいやつにパシらすなんてそいつら酷いなぁ」

ポンポンと空いてる手で俺の頭を撫でる鈴木。
なんや、落ち着く。

教室に着くとパシらせてきた連中に囲まれた。
俺のはどれだ、私のはどれだ。
クラスの大半が俺の周りに集まる。

「へぇ、クラスの大半こいつのことパシらせたんか」

ワイワイとしていた雰囲気にピリっと緊張が走った。

振り向くとさっき喋っていたホンワカしていた優しい鈴木ではなく別人なんじゃないかと思うほど、睨みをきかせた狂犬のような鈴木が立っていた。

「す、鈴木くん…どうしてここに」

クラスのあちらこちらから声が出る。

「村上と飯食うってなって、パシられてるって知ったからお前らのパン届けに来てやった」

「誰？村上パシらせたの」

あのさっきまで尻尾がついてた鈴木はどこに行ったんやろうか。
ドスの効いた声がクラスに響く。

案の定みんなビビり倒し、手をあげようとしない奴らにしびれを切らし、ぐるっとクラスを見渡した。

「村上」

突然呼ばれ俺が？と首を傾げると

「お前の机どれ？」

「あ、あれ、」

「ん」

クラスの窓際の一番後ろ。
そこに置いてあった弁当を取って戻ってきた鈴木。

「飯食お、腹減った俺」

「え、う、うん」

俺の背中を押しクラスから出る。

「あ、そうや、焼きそばパン頼んだやつ誰？」

「…お、俺…」

「俺が食べるからお前昼飯無しな。」

「…え…？」

「後、次村上に変なことしてみろ、ただじゃ置かねぇからな。

あ、近づくな。そっちの方がええな。うん。」

なんて声が後ろから聞こえて、あぁ俺明日からボッチかなんて考える。

なんでか冷静な自分に驚きだがそれくらいもうしんどかったんやろうな。