【男主】I’ve never loved anyone like this.【センラ】 (ページ13)

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12話ページ13

準備室に来てから何分経ったか。
多分15分は経ったんちゃうか。

無言。

ずっと無言。なんやねんコイツ。

「…」

俯いて、時々顔あげて俺の顔みて何か言いたげに口を開いたかと思うと閉じてまた俯いて。

「なんや、言いたいことあるんやろ？」

少しの苛立ちを抑えながら、池田を後目に他のクラスのノートを見る。

提出物の出が悪いなぁ……うちのクラスはちゃんと出てるで。

……こいつは何を俺に言いたいんやろうか。

授業分からんかったのか？
－でもこいつ前回の中間出来良かったぞ？

頭は悪くない。それは分かってる。
わからんことなんてないって顔してるしなぁ。

もしかして、俺の授業が分かりにくすぎていちゃもんつけるために呼び出した？
－そんなことすんなら勉強するやろ。ふつうに。
テスト前なんやから。

それに、前回テスト良かったんやからわかりにくいってことじゃないと思うし。

ぐるぐると頭ん中で考える。

暫くして、こいつが発した言葉は俺の予想をはるかに上回る言葉だった。

「センセ、村上のこと好きなん？」

「……は？」

苦虫を噛み潰したような顔で俺を見るコイツ。
まるで村上という言葉すら発したくもなかったと言いたげ。

「…好きやけど」

好きか嫌いか聞かれたら好き。
やって、学生時代から一緒にいて、
いい大人になった今でも、
仕事、プライベートと気づけば村上が隣にいた。

そんなやつ

嫌いって言う方がどうかしてる。
……決して恋愛感情では無い……。

「……俺、絶対村上に負けへんから。

やから、A…見てて？……振り向かせるから。」

俺の頬に軽く手を添え額にキスを落としたそいつはじゃ、と荷物をまとめ部屋を出ていった。

……はぁ？！

「俺……今何を……」

まだ額に残る唇の感触。
……案外柔らか……やなくて！

ブワッと顔に熱が集まる。

キスなんて、額にだけどされたん何年ぶりやろ……

今まで、そうゆうことがなかったといえば嘘になる。
教師になって、上手くいかんことがあったりすると人肌恋しくなるやん？

そうゆうこと、一夜限りの。そんな友達と今まで沢山やってきた。

やりたくなったら呼び出してやる。お互い後腐れなくて楽。お互い気持ちよくなれたらそれでええやん。

……恋人同士じゃないからキスはしないっていうお約束。

突っ伏してた顔を上げふと煙草が吸いたくなった。
禁煙、してたんやけどなぁ。

さっきの唇の感触でキスが欲しくなったのを煙草で誤魔化す。

…しかし、なんで村上の名前でてきたんやろ…。