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桜士郎は、耀哉を無事産屋敷邸に送り届けた後、耀哉たちに別れを告げて、風情ある庭園をゆっくりと歩いていた。
「────但し、条件が一つ」
「……何かな?」
「もし禰豆子が人を喰らう可能性があると私が判断した場合────彼女の首を問答無用で切り落としますが宜しいですね?」
桜士郎の問いに、耀哉は一度考える素振りを見せてから、ゆっくり頷いた。
「……そうだね。左近次たちには悪いけど、それも致し方ないのかもしれないね」
「……ありがとうございます」
────
──
─
ふと、耀哉とのやり取りを思いだす。端から見れば彼らしくない非情とも言える発言にも、桜士郎はそう受け取らなかった。
何故なら耀哉の顔が、まるでそんなことは有り得ないと言っているかのようだったのだ。
桜士郎は噂に聞く【先見の明】というやつだろうかと考える。
歴代の産屋敷家当主は、特殊な声に加えて未来を見通す力というものが凄まじいと聞く。
あの方には、何かが見えるというのだろうか。
────竈門 炭治郎と竈門 禰豆子、お館様は随分と彼らに期待しているように思える。
確かに、鬼舞辻に遭遇したことは大きい。千年以上もの間、姿を現さなかったあの屑が、自ら尻尾を出したのだ。
竈門に追っ手を放っているのは単なる口封じのためなのか。どうもそれが引っかかる。
口封じなんてしなくても、竈門の実力は十二鬼月よりも下だろう。
ほっといたっていずれ死ぬ。態々追っ手を差し向ける理由が他に────。
とにかく、今どうこう考えてもしょうがない。俺は彼らを見極めるだけだ。桜士郎はそう決意し、再び門へと差し掛かる。
途端、桜士郎は、一瞬思考が停止したかのように硬直した。
大きな門の向こう、彼の視線のその先には────蟲柱 胡蝶 しのぶが大きく目を見開いて立っていた。
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。ハールメンで見させて貰います。 (2021年9月26日 1時) (レス) @page17 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - いおりさん» 前作からと長々この作品をご閲覧頂きありがとうございます!部活の大会や模試などが立て込み、中々更新出来ずにすみません。ですが、これからも応援して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2020年1月16日 7時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 前作から来ました。今作もすっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年1月13日 17時) (レス) id: 74a65ddbfb (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - そう言って貰えると、良かったぁってなります。ありがとうございます!了解です。前作は残していく方向で行きます!更新頑張ります! (2020年1月5日 11時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
Sara.(プロフ) - 面白すぎて一目惚れしました。大好きです前作残して欲しいですす更新頑張って下さいぃぃ! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 37e203d48e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しとは | 作成日時:2019年12月12日 1時