White Linaria .【黒】 (ページ30)

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「あれ、A」

名前を呼ばれて振り返ると、目に入ったのは。

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『……翔太』

私が想いを寄せている翔太と、その翔太と手を繋いでいる
彼女さんだった。

渡辺「こんなとこで会うなんて奇遇だなー」

『そ、そうだね…』

翔太と彼女さんが私の近くまで歩み寄ってきた。

近くなる距離に、私は別の意味でドキドキする。

渡辺「あ。言ってなかったな。彼女の美羽だよ」

“美羽”と呼ばれた翔太の彼女さんは、軽くお辞儀をした。

つられて私もお辞儀をする。

美羽「初めまして！翔太くんとお付き合いしている美羽です！」

ニコッと笑顔を見せた美羽さんは、本当に可愛くて
私なんかよりも翔太にお似合いだと思ってしまった。

渡辺「Aも買い物？」

『う、うん』

美羽「ここの小物可愛いよね！何かお揃いで買う？」

渡辺「お、いいね」

幸せそうな会話が目の前でされていてとても辛い。

(ダメだ…ここで泣いちゃ…)

涙が出そうな気持ちを堪えていた時。

目黒「あれー。翔太くんだー」

私の肩にポンと手を置いて話しかけた目黒。

渡辺「目黒じゃん！何、2人で買い物してた？」

目黒「そー。買いたいものあるから誘ったの。
翔太くんデート中だよね。邪魔してごめん」

そう言って、私の腕を掴んで翔太たちと距離を取った。

渡辺「また大学でなー」

目黒「うんー」

翔太と目黒がお互いに言って、私は腕を掴まれたまま
目黒について行く。