双子暗殺者がとりあえずE組で頑張る話 (ページ17)

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弟です。ページ17

お菓子から着色料を取り出す実験をし終わり、余ったお菓子を先生が回収(という名の調達)するというなんともみじめな光景を見た後のこと。

一人の女子生徒が先生の前に毒です、といって数本のフラスコをさしだした。

彼女の名前は確か奥田さんだっけ。

にしてもなんて馬鹿正直な暗殺……いや、暗殺なのか、これ。

真心こめてつくったっていってるけど、さすがにそれは飲まないだろ。

ん？

え、殺せんせー飲んでんだけど。

飲み干した後、先生の体がガクガクと震えだした。

もしかしてこれ効いてるんじゃ？

そう思いながら見ていると、次の瞬間殺せんせーになんか角が生えた。

「この味は水酸化ナトリウムですね。

　人間が飲めば有害ですが先生には効きませんねぇ。」

「……そうですか。」

まって効いてるよね。

死にはしてないけどなにかが変わってるよね。

つーかなんで姉ちゃんは写真撮ってんの？

まあいいや。

……俺も撮っとこ。

そして殺せんせーはもう一本のフラスコに触手を伸ばし、口に流し込んだ。

苦しみだした殺せんせー。

どうなるのか、と緊迫した様子で皆が視線を送る中……今度は羽が生えた。

なんか無駄に豪華な顔なんですけど。

とりあえず写真撮っとこう。

「酢酸タリウムの味ですね。

　では最後の一本をいただきます。」

一体最後はどうなるのか。

再び教室に緊張がはしる。

名探偵コ○ンの幼児化なみに再び苦しみだす殺せんせー。

最後は……真顔。

変化の法則性が全くといっていいほどわからない。

とりあえず写真撮っとこう。

てか真顔薄すぎだろ。

顔文字みたいなんだけど。

殺せんせーと奥田さんが一緒に先生を殺す毒薬づくりをする約束をしたところでその日の理科の授業は終わった。

ターゲットと一緒に作る毒薬。

それはつまり本当にターゲットを殺す毒薬をつくれる保証はない、ということだ。

もし俺が殺せんせーだったら……一緒に作るふりをして邪魔をする。

もしくは自分のステータスをあげるような薬をつくらせる。

まあそれは俺だった場合じゃないのか、と思うかもしれない。

だが、殺せんせーもまだ死ぬ気はないだろう。

面倒なことになりそうだ。

一つため息をついていると、後ろから声がかかった。

紫陽花だ。

「ねぇねぇ、一緒に毒薬づくりの見学いこーよ！」

「嫌だ。つーか姉ちゃんが行っても何もわかんないと思うけど。」

えー、といいながらしぶしぶ離れてくれた。

まあ俺も興味あるし姉ちゃんが帰ってきてから行こうか。