弟です。 ページ13
銃を構えながら落ちていくカルマ。
助けに行けば殺せんせーは撃たれて死ぬ。
見捨てれば殺せんせーは【先生】として死ぬ。
自らを使った頭の回転が速いカルマならではの計算づくの暗殺。
これなら殺せるかもしれない。
そう思ったその瞬間、カルマはネットのようなものに受け止められていた。
どうやら殺せんせーの触手らしい。
触手の粘液で腕を固定されているからあれでは銃を撃てないだろう。
崖の上から二人の様子を眺めながら一つため息をついた。
殺せんせーが何か話した後、カルマの眼が変わった。
崖の下から戻ってきたカルマは寝転がっている。
少し疲れているようだ。
「……平然と無茶しましたね。」
改めてもう一度崖の下を見た俺。
うん、俺はここから飛び降りる勇気無いわ。
今のが一番殺せる確率が高かった作戦、しばらくおとなしくして作戦を練り直す、といったカルマに殺せんせーは美顔ローラーや歯ブラシやらを出して君も案外ちょろい、などといった。
……なんでだろう、自分に向けた言葉じゃないのに殺意がわいてくる。
カルマも殺意がわいたようで、首をきる仕草をしながら殺す、といった。
だけどその殺意はさっきまでのそれとは少し変わったように見える。
「一緒に帰らない？阿須汰君。
帰りにケーキ屋で驕るからさ。」
ケーキ、という単語にすぐに行く、と返事を返した。
え、手に持ってる財布殺せんせーのじゃない？とは決して声にはださない。
殺せんせーもさすがにきづいたようで、取り戻そうとしたが中身はすでに空だ。
はした金だったから募金しちゃった、と舌をだしながら言うカルマに不良慈善者、と返す殺せんせー。
この二人何気にいいコンビだと思うのは俺だけだろうか。
苦笑いしながらそのやり取りを見ていると、校舎の方から声が聞こえた。
「カルマー阿須汰ー！」
紫陽花だ。
……うん、なんでだろう。
とてつもなく嫌な予感がする。
紫陽花ちゃんはじめましてー、などとカルマが軽く返している。
ここは逃げるが勝ちだな。
そろーっとその場を抜けようとした……が、めざとく姉に見つかった。
ふっふっふっ、などとわざとらしく笑いながら彼女が取り出したのは……猫耳カチューシャ。
やめろ、それをつけたら俺の中のなにかが死ぬ。
急いでカルマとその場を後にしようとしたが殺せんせーが財布のやり返しとして追いかけてきたため、あっけなくつかまった。
殺せんせー……俺関係ないよね！？
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作者名：相良 夜恵 x他1人 | 作成日時：2017年4月19日 22時
