弟です。 ページ2
俺達は暗殺者。
標的は担任の先生。
今日もＨＲを始める合図のベルと共に銃撃が始まる。
「夏藤 阿須汰君！」
「はい。」
「夏藤 紫陽花さん！」
「はーい！」
俺は夏藤 阿須汰。
そして、俺の後に名前を呼ばれたのは俺の双子の姉だ。
双子で頭が悪いのか、と思うかもしれない。
だが、実際悪いのは姉だけだ。
俺は浅野の次ぐらい。
堂々とＡ組に居られる成績だ。
そんな俺がなぜＡ組に来たのか。
まずはその話から始めよう＿＿＿
時は放課後。
二年生も終わりいよいよ三年生になる、ということで教室に一層緊張感が漂う時期だ。
そんな時期のある日、俺は浅野から預かった重要な書類と理事長から毎週渡される宿題を持って理事長室に向かっていた。
俺は生徒会に入っているわけではないが、浅野と五英傑は用事があっていけないらしい。
渡すだけなら他の生徒でもいいじゃないか、という疑問をぶつけたが説明とその返事ももらうから成績のいいお前が適任だろう、という回答が返ってきたためそれ以上反論する気が失せた。
人使いが荒い。
説明といってもお前の作った台本を覚えて言うだけだろ。
まあ俺も理事長室に宿題を持っていかなきゃいけなかったからついで、ということだ。
扉を開けようとしたその時、中から声が聞こえた。
ああ、誰か来てるのか。
少し中の会話の内容が気になり、俺は扉に背をつけて耳をすました。
中から聞こえてきたのは理事長の声。
「夏藤さん、実は君に伝えたいことがあってね。」
その後明るい姉の声が聞こえた。
「はい！なんでしょうか！？」
どうやら中に居るのは理事長と姉らしい。
一体何だろうか。
「おめでとう、＿＿＿＿三年生からＥ組行きだよ。」
Ｅ組。
それは本校舎から差別される底辺のクラスだ。
まあ姉さん馬鹿だからな……この学校に入れただけでも奇跡だよ。
心の中で、馬鹿といいながら俺は理事長室に足を踏み入れた。
理事長の声も姉の声も聞こえない。
ただ、無言で宿題を放り投げ、重要なものだといって渡された書類を手で引き裂いた。
それを上に放ると真っ白な紙の雨が降り注ぐ。
絶対零度の眼を向けてくる理事長に、俺は最高の笑みを浮かべてこういった。
「嗚呼、重要な書類を破いてしまいました。
＿＿＿これで僕もＥ組ですよね？」
俺の問いに理事長もまた笑顔で答えた。
「ええ、夏藤さん、夏藤君。
君たちは来年からＥ組です。」
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作者名：相良 夜恵 x他1人 | 作成日時：2017年4月19日 22時
