落ちたる椿 ページ23
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暗いです
紫side
「もう俺たち、卒業するんだね」
そう言ってさくらの蕾を見つめる君は、
今にも消えてしまいそうで、思わず腕を掴んだ。
「今までありがとう、こんなに楽しい高校生活が送れたのは作ちゃんのおかげだよ」
君は俺の手を見つめ、微笑みながら呟く。
「初めて出会った時のこと覚えてる?その時もこの木の下だったね」
忘れるはずが無い。
俺はあの時生まれて初めて 一目惚れ を経験したのだから。
「ごめんね、色々迷惑かけて、作ちゃんなんでも許してくれるからつい悪ふざけし過ぎちゃうんだよ」
なんでも許すのは君だから。
君と会えるなら、話せるなら、同じ空間に居られるなら、何もいらなかったんだよ。
「作ちゃんに出会えて良かった」
やめてくれ。
そんなの、まるでもう会わない相手に言うようだ。
「作ちゃん、俺、」
「…作ちゃん、」
その先が聞きたくなくて、
君の事を精一杯抱き締めた。
「もう会わない、なんて言わせないから…!」
本当は全部知っていた。
こんな事を言うのは無駄だってことくらい。
「ごめん」
「俺は嫌だよ……蒼弥と離れ離れになるのは、」
「……ごめん」
網膜を湿らせて、謝る君の姿を見れば、思ってもいないことなんか明瞭である。
あれは残暑の残る九月の事だった。
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水曜日(プロフ) - soya._.soyaさん» こちらこそです!そう言っていただけて何よりです!ありがとうございます!(^^) (2021年6月8日 23時) (レス) id: 14fb495496 (このIDを非表示/違反報告)
soya._.soya(プロフ) - ありがとうございました!最後にセリフが凄いゾクっとして、お話もドキドキしました!又リクエスト開始したらさせて下さい!新作の方も楽しく見させてもらってます! (2021年6月8日 22時) (レス) id: f139f64694 (このIDを非表示/違反報告)
soya._.soya(プロフ) - 水曜日さん» ありがとうございます! (2021年6月7日 6時) (レス) id: f139f64694 (このIDを非表示/違反報告)
水曜日(プロフ) - soya._.soyaさん» 分かりました!書かせて頂きますね! (2021年6月7日 3時) (レス) id: 14fb495496 (このIDを非表示/違反報告)
soya._.soya(プロフ) - おねだりしちゃうと言うお話が読みたいです。よろしくお願いします! (2021年6月7日 0時) (レス) id: f139f64694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水曜日 | 作成日時:2021年5月15日 21時