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【備考】
聖女を擁する名家レフコース公爵家に第二子、次男として生を受ける。長男とは双子の兄弟。アマルタルの男としては極めて恵まれた出自に生まれたヴィンセントは、特にこれといった不自由というものを味わうことなく日々を過ごしていた。
そんな彼の平和な日常は、ある一人の女と出会ったことにより崩れ去る。
彼女の名はヴィオレッタ・パドローナ。彼の妹は彼女のことを「お姉様」と呼び慕っており、彼女を名実ともに「お姉様」にするために彼女へ婚約者としてヴィンセントを差し出したのだ。その時点で二人にほとんど面識はなかったのだが、妹の勝手に決めたこととはいえ将来の伴侶となる女性に礼を欠くようなヴィンセントではない。顔合わせの日、最初の挨拶として特別に作らせたこの世に二つとない髪飾りを彼女に贈ったのだ。
このことが琴線に触れたのかはわからないが、彼女はヴィンセントのことを大層気に入ったらしい。そして、あろうことかヴィンセントを自分の婚約者として完璧に躾けると言い出したのだ。彼女に初めて鞭で打たれた日、屈辱感と一緒に襲ってきたのは不思議な高揚感であった。
そうして彼は己の中に被虐趣味という花を咲かせたのである。
彼はまだその花の名前を知らない。
■レフコース公爵家
コルデラクロイツ公爵家と共に「白の聖女」と呼ばれる聖女を擁する公爵家。コルデラクロイツ公爵家とは関係が深く、現レフコース公爵と現コルデラクロイツ公爵は仲が良いと評判。……というのはあくまで表面上の話であり、当人たちの間には学生時代から続く深い確執が存在している。
代々軍系の家系であり戦争によってアマルタルに侵略してくる者達を撃破し後顧の憂いを断つことに賛成意見を示している家系。歴代の当主は皆軍の上層幹部に名を連ねており領地での武器産業が盛んな為かレフコース公爵領の民も戦争賛成派が多くを占めている。生産の多い食料品は日持ちのする保存食として加工がしやすいものが多いなどかなりの産業を戦争に依存しているようにも見える地域。そんなレフコース公爵領が軍事力が強い故に犯罪が少なく、豊かである為に犯罪率が低くアマルタル国内でも治安がいい地域なのはなんという皮肉なのだろうか。
その軍系の気質故か、家の中でも上下関係の規律が厳しく当主の権力が強い。
当然のことながら歴代当主は女性当主であり、今代も同様とのこと。
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作者名:白銀刹那 | 作成日時:2022年10月16日 22時