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【備考】
取り立てて説明すべき点もない、ごくごく一般的な平民の家に一人娘として生まれる。そういった家庭に両親はコンプレックスを抱いていたらしく、娘のヴィオレッタには平民の地位に甘んじることなくどんな手を使ってでも高い地位へと成り上がって欲しいと望んだ。両親はヴィオレッタに将校となることを求め、王立聖モーネ軍学校の特別進学クラスに入れるよう「躾」を施した。
勿論、パドローナ夫妻はまともな教育を受けたことがない一介の平民である。自分の名前すらろくに書くこともできない彼らがヴィオレッタに何かを教えることなどできるはずもなく、貴族の捨てたごみの中から漁った紙片がヴィオレッタの字の先生であった。もっとも、ヴィオレッタにそうするよう指示したのは両親であるのだが。
自分たちも出来ないことを娘に求めるなどはっきり言ってばかげた話であるのだが、当のヴィオレッタはその躾に一切疑問抱くことなくそれを受け入れ、両親の望んだ通りの優秀な子に育つ。それはもう、優秀過ぎるくらいに。いつの間にか立場が逆転し、ヴィオレッタが両親を躾けるようになるまで。
そうして優秀なヴィオレッタは見事特待生制度を勝ち取り、目標であった王立聖モーネ軍学校特別進学クラスへの入学を難なく果たした。入学後もその優秀さが変わることはなく、やがて円卓騎士団にその名を連ねることとなり、生徒たちに「躾」を施す立場へと就いた。
そんなある日、ヴィオレッタはある公爵家の娘と出会う。彼女はヴィオレッタを「お姉様」と呼び慕い、名実ともに自分の「お姉様」にしたいと望んだ。そうしてヴィオレッタの婚約者として自身の兄を差し出してきたのである。その兄というのがヴィンセント・レフコースであり、その後の関係性というのは既に誰もがご存じの通り。
強力な後ろ盾を得たヴィオレッタはもう止まらない。
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作者名:白銀刹那 | 作成日時:2022年10月16日 21時