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規則に対しては内容を尊重しているというよりは「守るべきものであるから守らなくてはならない」という意識が潜在的にあるらしく、例えトンチキな規則であろうとも規則と言われれば守ろうとする性分。これは平民である彼女が貴族たちの中に混ざるためには規則を守るということが必要最低限のことであったことに由来する。

婚約者である同級生のヴィンセント・レフコースとの関係は極めて特殊であり、彼に対しては特にこれといった規則違反をしていなくても「躾」と称した鞭打ちを与えている。彼に対する扱いは鞭打ちだけにはとどまらず、四つん這いにした彼を椅子として扱う、自分の名前を書いた首輪をつけて「所有物」と言い張る等々最早人道的観点から見れば問題しかないようなところまで及んでいる。「私の婚約者なんだから私が躾けるのは当然」というのが彼女の主張なのだが、目撃した生徒によれば婚約者に鞭を打つときの彼女はとても恍惚とした表情をしているらしく、そこに彼女の個人的趣向が絡んでいないとは言い切れない。
普段散々優位に立っている彼女であるが、彼に対しては時折敢えてか弱い女といった風に振舞うことがある。例えば自分でどうにかできるようなことを「できない」と言い張って彼にやらせたり、自力で帰れるのに彼が迎えに来るまでわざとその場から動かなかったり。彼女なりに婚約者に甘えているのだろうか。
傍から見たら異常極まりない関係性ではあるのだが、これでも彼女は婚約者のことを心から愛しているのである。彼について話すときの彼女はとても楽しそうであるというのはとある友人の評。もっともその内容というのは中々に反応に困るようなものばかりであるのだが。彼女が肌身離さず身に着けている髪飾りは二人の間に存在する愛の一つの証。所有物と称して名前を書いた首輪を付けるのはある種の独占欲なのだろうか。少なくとも彼女は婚約者に手を出されたら黙ってはいないし、婚約者の方も同様である。

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作者名:白銀刹那 | 作成日時:2022年10月16日 21時

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