【CS】スケープゴート (ページ7)

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【生い立ち】
記憶にあるのは、真っ赤な水たまりの中に倒れていたこと。そしてその赤い水が、自身から流れ出した血であったこと。脇腹がジンジンと熱くなっていったこと。だんだん意識が遠くなっていったこと。

「しに、た、く、な」

必死の思いで紡いだ言葉は誰にも届かず消えて行く。嗚呼、世界は私を見捨てるのか。私はこの世界に何も残せずに死んでいくのか。私をこんな目に合わせたあいつらに、復讐のひとつもできずに。私の生まれた意味って、一体何なのだろうか？こうして無様に死んでいくことが、運命だとでもいうのだろうか。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、そんなのは嫌だ！こんなところで死んでたまるか。私は生きるんだ、第一生きたいと願ったからこうして逃げ出したんじゃないか！

あんなにも恐れていた神が、今では私の人生における最後の希望だ。恐怖も何もかなぐり捨てて、必死に祈りを捧げる。

神よ、私はここで終わるような人間ではありません。
神よ、私ならば生きたままあなたのお役に立てます。
神よ、どうか私に慈悲を、祝福を、未来を。
どうか、私に命をお与えください。

祈りも虚しく、目の前は徐々に暗くなる。全身の感覚が段々と抜け落ちて行く中、脇腹だけが熱く鋭い痛みを感じていた。

「生きたいか？」

薄れゆく意識の中で声が聞こえた。
その声が、神の声だと思った。

そうして生きながらえた私はアメデオ・カプロ・エスピャトーリョとして新たに生まれ変わったのである！