検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,844 hit

ページ6

「喋らなければいいのに、とはどういう意味ですか? 私は神に選ばれし者! 神の認めた存在である以上、私が喋ることは神により許されているのですよ!」

「さあ、神の奇跡が施しを与えにきましたよ! 喜びなさい、愚かで哀れな子羊たち! なにせ私は神に選ばれし者! その私がここに使わされたということは、神はまだ貴方の方を向いておられるということです。ですから喜びなさい!」

「退いて、退いてください! それは神の奇跡たる私の役目です! 神に選ばれし者である私が一番の手柄をあげなければ、神の尊厳にも関わります!」

「私は本来であれば死んでいるところを、神によって生かされました! つまり! 神は私に生きる価値があるとお認めになられたということ! 私は神に選ばれし者なのです!」

「なんですか、貴方方は! 私が神に選ばれし者であるということを知っての所業ですか! ええい、うざったい! 私は神の奇跡! 貴方方のような下賤の民とはわけが違うのです!」

「私に対する侮辱、それすなわち神への侮辱と同義! 何故なら私は神に選ばし者なのですから。私を否定するということは、私を選んだ神を否定するということなのです!」

「我々の神は貴方方を許しません。そして、私も貴方方を許しません。私は神の奇跡として皆の先頭に立たなければならないのですから」

「私は弱い。そんなことわかっています、ええ。しかし私には神の加護がある。弱い私が今日まで生き延びて来られたのは神のおかげなのです」

カプロ・エスピャトーリョ(償いの山羊)。んふふ、悪趣味な名でしょう? この文字が体に刻まれていて消えないので、仕方なく名乗っているんですよ。せっかく書いてあるんですから、有効活用しなくては。そう、仮に私が死んだとして、普段からそう名乗っておけば誰の死体かわかりやすいでしょう?」

「私は神に選ばれし者なのです、ええ、そうに決まっています。あのとき私を殺した者達こそが、愚かで許し難い魔女だったのです!」

「哀れな人間だと思って頂いて結構です。自分の不幸を魔女のせいにしなければ生きていけない哀れな人間だと。私は救われたいんです。神ならば私を救ってくださると、そう信じています。それだけです」

「神以外に誰が私を救えると言うのですか? あなたに私が救えるというのならば、どうぞ救ってみてください。期待はしません」

「私を生かしてくださったのは神です。少なくとも、私にとっては」

「救いはないのでしょうか」

├→←├



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白銀刹那 | 作成日時:2022年8月4日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。