涙 ページ4
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数日前、彼と電話をしたあの日から一週間程が経った。彼の声を聞いて元気が出た私は、大変だった仕事をようやく片し、ゆっくりとした時間がついにやってきた。
それに明日はやっとの休み。３日もお休みをもらえてハッピーだ。帰りにケーキ屋さんに寄って頑張ったご褒美に甘いものでも買おうかな。思わず何個か買ってしまいそうだな。こんな時、彼が居てくれたらいいのに。
「一緒に食べたいな」
それにしても、彼からの連絡は未だになく、寂しさは残る。仕方がないのはわかって居ても、彼のことで頭がいっぱいだ。
「早く会いたいや…」
そうポツリと呟きながら、私はお気に入りのケーキ屋さんへと向かった。
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ケーキ屋さんに向かっている途中、携帯のバイブが震えていることに気がついた。
「会社からだったりして…」
なんて不安になりながら、携帯を確認すると、私が1番心待ちにしていた彼からの着信だった。
「シャオジュン…！」
慌てて通話ボタンをタップする。
「もしもし！」
「ふふ、出るの早いね」
クスッと笑う、彼の愛おしい声が聞こえた。ああ、なんて幸せなんだろう。
「だって！嬉しかったから」
「わかる。俺もすっごく嬉しい。あ…いま、仕事の帰りだったりする？」
「へへへ。うん！仕事がやっと落ち着いて、明日から三連休なの。ご褒美にケーキでも買おうかな、なんて思ってて…」
「ケーキ？ずるいなぁ。俺の分は買ってくれるの？」
「え、でも…シャオジュン、仕事が…」
「実は終わったんだ。すっごくがんばったんだよ？A、褒めて」
甘えた声が電話越しから聞こえる。私はあまりにも嬉しい報告に、人目を気にせず大きな声で
「シャオジュン…お疲れ様！！！」
そう、彼に伝えた。
「へへ、ありがとう」
「本当に本当にお疲れ様。いっぱいがんばったシャオジュンは世界一偉いよ」
私は構わず伝えたいことを伝えた。だって嬉しいんだもん。たくさん頑張っていたことは知っているから、たくさん甘やかしたい。
「A」
「…ん？」
「Aもたーくさんがんばったね。本当にお疲れ様。もう無理しなくていい。たくさん俺に甘えて」
優しい声でそんなことを言われてしまうと、どう言葉に返したらいいのか…私は思わず立ち止まって黙り込んでしまった。
苦労した出来事がぽんぽんと頭の中で浮かんでくる。耐えてきたものが、彼の言葉で崩れてしまう。
じんわりと目頭が熱くなる。
ぽろり、ぽろりと、涙が出てきてしまった。
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作者名：浮雲 | 作成日時：2021年1月16日 6時
