34、ペールトーン ページ34
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中村さんの横顔が、表情が、声色が脳裏から消えない。
Aは溜息をつくことが増えた。口を尖らせて、上唇に鉛筆を乗せた。
美術室に1人でいることが増えて、あれ以来窓から外を眺めることも減ったし、もやもやとしたふらふらとした気持ちがAを不安定にさせた。
人の記憶というものは日に日に、時間を追うごとに色褪せていくものだし、きっと大人になったら生徒会長の名前も、きっと中村さんのことも忘れてしまう。Aが忘れるのと同じように、石黒賢も中村倫也もAを忘れていくのだ。
そこで中村さんの名前が出てくる理由はまだ分からないふりがしたかったが、時間の問題であることはAが1番よく分かっていた。
見上げた蛍光灯は青白く光り、天井のシミは何かの形をしているようにも見えた。
「よし。」
Aは首をぶんぶん振って両手で頬をパチンと叩いた。購買で買ったパックのいちごみるくをじゅーっと勢いよく吸って気合いを入れた。
キャンバス上のシャボン玉は艶やかで鮮やかで、それでいて儚くて切ない。男の子の表情は活気に満ち溢れていて、女性の表情は穏やかで優しい眼差しが眩しい。
そう全てが淡くて穏やかでペールトーンに包まれているようなそんな感じ。例えるなら初恋。淡くて、心がきゅっとしたり、些細なことで一喜一憂したりするような、切なさのある幸せな時間。
この絵ができたら中村さんに見てもらおう、Aはそう決めた。
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黒尾(プロフ) - 蒼凰さん» ありがとうございます。楽しんでいただけるようなお話考えていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2019年6月24日 21時) (
レス) id: 68c099bb5b (このIDを非表示/違反報告)
蒼凰 - 初コメント失礼します！この小説、とても好きです！これからも楽しみにしてます！体に気をつけて頑張ってください！ (2019年6月24日 19時) (レス) id: d530b8b740 (このIDを非表示/違反報告)
暖 - 対応ありがとうございます＜(_ _)＞楽しみにしてます！ (2019年6月19日 23時) (レス) id: 3edb6afb17 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾(プロフ) - 暖さん» ご意見ありがとうございます。本当ですね。只今調整いたしました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年6月17日 23時) (レス) id: 68c099bb5b (このIDを非表示/違反報告)
暖 - コメント失礼します！小説読ませて頂いてます！意見なんですが、途中から名前が変換できていないと思うんですが、、(主人公)違ったらごめんなさい＜(_ _)＞ (2019年6月17日 23時) (レス) id: 3edb6afb17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒尾 | 作成日時：2019年6月17日 0時
