11、早起きは三文の徳 ページ11
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「もうすぐそこなので、大丈夫です。送ってくださってありがとうございます。」
Aの自宅のすぐ近くまで来ると、Aはくるりと向きを変えて頭を下げた。
「いいよいいよ。じゃねー。」
中村さんは目尻を下げてゆっくりと微笑んだ後に、手をひらひらと振った。
張り詰めてもやもやとしていた気持ちがなんだかフラットになって、Aは思いの外前に進めそうな気がした。
玄関を開けると母がリビングでうたた寝をしているのが見えた。
「ただいま。」
背後から声をかけると伸びをして、おかえりと呟いた。母の傍らには空になった缶ビールが2本転がっていて、おそらくAが無事帰るのを待っていた。
次の朝、Aは珍しくアラームより先に目が覚めた。空は朝焼けが美しく輝いて、住宅街にオレンジ色のフィルターがかかっているようだった。
32mmのコテを取り出して温めた。その間に休日にしか使わないアイラインとマスカラで目元を飾った。
くるんくるんとした毛先を揺らしてリビングに降りると母はもう朝食を済ませたようで、自身の仕度をしていた。
「あれ、A珍しいわね。髪なんか巻いて。」
母の言い方には嫌味はないがなんだか気恥ずかしい気がした。
「なんでもない、気分転換だよ。」
理由なんて聞かれていないのに答えたのは、なんとなく母の次の言葉が予想できたからだった。
家を出て、最寄駅に着くと石黒賢がホームで立っているのを見つけた。
「かいちょー。」
ひょこっと石黒賢の傍から顔を出すと、イヤホンをすっと外して、おはよと笑った。
「珍しいね。Aと時間が被るの。」
「いつも会長早すぎなんですよ。」
「俺はね、0限の前に自習するのが日課なの。」
「2番線ホームに列車が到着します。」
駅のアナウンスがけたたましく流れた。
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黒尾(プロフ) - 蒼凰さん» ありがとうございます。楽しんでいただけるようなお話考えていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2019年6月24日 21時) (
レス) id: 68c099bb5b (このIDを非表示/違反報告)
蒼凰 - 初コメント失礼します！この小説、とても好きです！これからも楽しみにしてます！体に気をつけて頑張ってください！ (2019年6月24日 19時) (レス) id: d530b8b740 (このIDを非表示/違反報告)
暖 - 対応ありがとうございます＜(_ _)＞楽しみにしてます！ (2019年6月19日 23時) (レス) id: 3edb6afb17 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾(プロフ) - 暖さん» ご意見ありがとうございます。本当ですね。只今調整いたしました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 (2019年6月17日 23時) (レス) id: 68c099bb5b (このIDを非表示/違反報告)
暖 - コメント失礼します！小説読ませて頂いてます！意見なんですが、途中から名前が変換できていないと思うんですが、、(主人公)違ったらごめんなさい＜(_ _)＞ (2019年6月17日 23時) (レス) id: 3edb6afb17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒尾 | 作成日時：2019年6月17日 0時
