前世は刀剣、今世は怠惰の主人（２） (ページ8)

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冬切ページ8

～Aside～

リリ「なぜ、自分の本名とは違う名前を？」
A「その理由は、私の目のことと一緒に話します。」
御園「目だと？」

あらためて、からこんを取れば、御園とリリイは驚いた顔をしていました。

リリ「綺麗なオッドアイですね。」
御園「オッドアイだと言うことがなにか関係あるのか？」

まあ、それはそうでしょうね。
前世と同じ姿ですし。

A「私は幼少期、このおっどあいが原因で周りから孤立していました。」
御園「………は？」

御園は、あり得ないという顔でこちらを見ています。

リリイはというと、難しい顔をしています。

二人の先程の反応で、二人はあまりおっどあいのことを気にしないようですね。

A「左右の色が違う目で、周りの子供からは『怖い』『お化け』と言われました。」

A「言われるだけなら良かったですが、酷いときには苛められました。」

A「母にも父にもない色合いで、親族からは嫌なものを見る目で見られました。」

A「父親………いやまず父かはわかりませんが、『不義の子』だと言われ、母を責めていました。」

A「まともに愛情をくれたのは、母とおじと幼馴染みだけでした。」

A「それでも当時の私は、周りは全員敵だと思っていました。自分につけられた『城田A』という名前が嫌で、この刀が『冬切左文字』と言う名なので、『冬切』と名乗っていました。その時に私は椿と出会いました。」

御園は唖然としていました。
リリイは痛ましげに見ていました。
クロは眉間にシワを寄せ、睨んでいました。

御園「父親かわからないと言うのはどう言う意味だ？」
A「あの時はわかりませんでしたが、あの時父親だと思っていた男と私は似ている部分がないんですよ。」

母は茶髪でしたし、父だと思っていたあの男も茶髪でした。

それに母に似ていると思う部分以外も、あの男に似ているとは思えませんし。

A「今思えば、冬切の名を語るのは私に名をつけてくれた母に失礼だと思います。こんな私の事を愛してくれましたから。」

もう、私は冬切左文字ではありません。
私は、城田Aです。

私には、幸せに生きる権利はありません。

それでもこんな私の事を愛してくれた母さん。
今でも私の事を支えてくれるおじさんや幼馴染みや桜哉。

………絶対に守ってみせます。

たとえそれで私が死んだとしても。