噂の強い人達【Fischer's】 (ページ19)

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涙ページ19

ASide

ケータイを見る度に溢れ出す大粒の涙。

結構遠くまで走ってきたから人気は無く、泣くには丁度いい場所に思えた。

『…なんで、皆。
私のこと嫌いなら言ってくれれば良かったのに。』

マサイ「…お前のこと嫌いな奴なんていないよ。」

えっ？

『…なんで？…マサイがいるの？』

マサイ「お前のこと心配だったから。追いかけた。」

どうして？
どうしてマサイはそんなに優しくするの？

『っ…。嫌いなら追いかけなくて良かったじゃん。私なんていらないんでしょ。』

私は可愛くない。
こんな時にお礼すら言えない。

私の口から出てきたのは、

『どっかいってよ。』

無意識に言ってしまった。

マサイ「行くわけねぇだろ。俺はお前のこと守るって決めたんだ。」

『嘘。そんなの嘘でしょ。好感度上げるためでしょ。』

マサイ「好感度上げるためでもある。Aに俺の気持ちを気づいてもらうためだからな。」

『マサイ。ありがとう。』

マサイ「帰るぞ。ほら、手」

『…ありがとう。』

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マサイSide

Aが泣いてるところなんて見たくない。

Aが笑ってるところが好きなのに。

俺は、俺たちは、Aのことを傷つけてばっかり。

…ごめん。

マサイ「帰るぞ。ほら、手」

『…ありがとう。』

少し微笑む君が好き。

『ねえ、マサイ』

「ん、どした？」

『何で皆、私のこと避けたのかな。』

っ…。俺は迷った。

さっきあったこと。
言うべきか。

言わないべきか。

…一応、言っておくか。

マサイ「さっきな…」

Aには細かいところまで説明した。

『じゃあ、AちゃんとBちゃんが…？』

マサイ「じゃないと、お前が怪我するから。」

『怪我…？』

マサイ「画鋲とか。」

『何それ。ねぇ、マサイ。』

マサイ「ん。」

『マサイは私のこと、守ってくれるの？』

…ドキドキした。

俺は守り抜く。

マサイ「あぁ。守るよ。」

好きな人を守り抜く。