俺と親友の恋愛事情

怒りの親友 ページ9

翌朝午前6時
急に携帯の電話が鳴り出した、寝起きと言うこともあってか出る気になれず、そのまま放置していたのだが
一向に鳴り止む気配が無い。

俺は側にあった携帯を乱暴に持ち上げ画面を見る。
朔間からだ。

名前を見た途端に、緊張が走る、一体何の用なのだろうか。

って言うか何で俺は緊張してんだよ！

そんなツッコミを心の中で入れながら、恐る恐る電話に出る

「もしも」

「てめえ！出るの遅いんだよ！！」

「いや、寝起きだし」

案の定、朔間は怒っていた。
怒鳴り散らす声は苛つきを露わにしていて、早く出なかった俺も悪かったが
そんなに怒らなくても良いでは無いか、と思いながら、朔間の話を聞く。

「それより、どう言う事だお前！ 桜とは付き合わないんじゃ無かったのかよ！」

すると予想だにもしていなかった質問に首を傾げる俺

「は？ 付き合わねえよ？ 何で？」

昨日に言った筈だった、そういう好きでは無い、と
だが、電話越しの朔間の声は真剣に怒っている。
桜がデタラメを言うとは到底思えないし。

「桜が！ お前に付き合おうって言われたってほざいてんだよ！」

「は？ んな事言ってな……」

記憶を呼び起こしていく、昨日の朝
朔間が余計な事を言った為に、その場をなんとかしようと、何かを口走った気がする。

俺と付き合おう

そう言った気がする。

「おい、何詰まってんだよ、言ったのか！？ 言ったんだな！？」

「……すまん、言ったわ」

反省の色を見ながら、少し小さめの声で朔間に言うと
少しの間、電話から声が聞こえなくなった。
後

「……断ってこい、そんなの俺が許さない」

何時もの朔間とは思えない程低音の声で、俺にそう言った。
背筋に冷や汗が伝っている感覚がして
俺は首を縦に振ることしか出来なかった。

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