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友情と愛情 ページ8

服の袖を掴んでいる朔間は、ずっと俯いていて
ただ弱々しく俺の服の袖を掴んでいる。
そのまま何も喋らない。

数秒間、無言の空間が出来上がり、何処か気まずく
その空気に耐えられず、口を開こうとした時だった。
朔間は唐突に言った。

「……お前、桜の事好きなの?」

「またその話か、好きだって言ったろ……でもな」

話し始める俺を、俯きながら見ようともしない朔間
何故か肩は震えていて、袖を掴む手は強くなっていく。

こいつ、こんなに弱々しい奴だったっけ

そう思ったのも束の間、朔間は急に顔を上げ

「駄目だ、付き合うな」

苦しそうに眉を寄せながら、顔は上げているものの目線が俯いている。
震えた声でそう言った後、朔間は俺の体を抱き寄せた。
もう、驚きはしないが、俺よりも身長の高い此奴が、この時だけは小さくて

「付き合わねえよ、好きの意味が違うしな」

俺は奴の髪に指を滑らせ、くしゃっと髪を撫でた。
朔間は少しピクリと肩を動かしたが、気持ちよさそうに俺に寄りかかってくる。

が、しおらしい此奴も此処までだった。

「A、お前俺の事好きだろ」

「は? 当たり前だろ、親友だし」

「そうじゃなくて、俺の事恋愛対象として見てんだろって」

急に積極的な質問をしたかと思いきや、俺の下腹部に顔を埋めていた筈の朔間の顔は
何故か俺の目の前に。
腕を引かれ俺が屈んでしまったみたいだ。

「はっ!? お、お前何言ってんの!? つーか寝てろよ風邪だろ!」

そんな朔間の手を振り払い、体制を元に戻した後に
朔間を睨みつけるように見ると

「……そんなに必死だと、好きだと言ってるようなもんじゃねえか」

朔間はニヤリと笑いながら、俺を見ていて
その表情に、無性に腹が立ち

「なっ、な、何言ってんだよ、んな訳ねえだろ!
もう良い帰る、おだいじに!」

俺は大股で保健室を出ようと、足を進めた。
後ろでは小さな笑い声と、「素直になれよ」と言う声

「うるせえよ!ばあああか!!」

俺はそんな朔間に大声を吐き散らし、保健室を去った。

怒りの親友→←先生、桜友恵



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ヒビキ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!夢主君可愛かったですww今までにないストーリー構成でとても楽しめました!新作なのですが、男主のファンタジー学園もの(女の子との恋愛はなし)だと嬉しいです!新作の方も内容がなにであろうと楽しみにしております! (2017年8月10日 20時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
ろでる(プロフ) - 主人公の心情が揺れ動く姿がとても丁寧で、最後の文を読み終わった時に思わず微笑んでしまいました。とても面白かったです。新作についてなのですが、男主でローファンタジーをリクエストします。新作も楽しみです! (2017年8月9日 20時) (レス) id: edada860be (このIDを非表示/違反報告)
春猫(*`´) - 面白かったです!更新 頑張ってくださいね! (2017年7月1日 10時) (レス) id: 980aa223ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロー | 作成日時:2017年6月28日 10時

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