すれ違い ページ23
「お、お前……俺の事好きなんじゃ」
「あー、全然脈ねぇだろ？ だから秋にしようと思ってさ」
ははは、そう笑いながら朔間は俺の目を見ようとしなかった。
その言葉にどれだけ俺が傷つくのか考えもしないのだろう。
手に持った湯呑みが震えてる、今さっきお茶を飲んだはずなのに、また喉が乾く。
朔間はこんな酷い奴じゃない、こんな奴なんかじゃない。
自分にそう言い聞かせながら、心を落ち着かせていたのだが、口を開いて話す朔間を見ている内に
ああ、これは現実なんだ、と、暗闇が俺を包んでいく。
「まあ、じょうだ」
「……あり得ない、本当に」
「え？」
「最低だよお前、折角……っ折角、好きって言おうと思ってたのにっ……」
朔間が何か喋りかけていたのを、俺は遮った。
俺の選択は間違っていないんだ、俺は朔間を諦めるべきなんだ。
戸惑う朔間をそっちのけで、俺は自分の想いを伝えた後に、居間を飛び出した。
流れる涙は止まらなく、これでも俺は男なのか、と自分に絶望しながら走っていく。
夜の道は寒くて、凍えそうで、寂しくて
人通りの少ない路地裏に、着いた時には、膝を抱えて座り込んだ。
探し出してもくれないだろう、彼奴の事を思いながら、降ってくる眠気に身をまかせる。
瞳を閉じる直前に、誰かの声がしたが、俺は眠った。
**
早朝の出来事、少しばかり痛い背中をトントンと叩き起き上がると、隣に温もりを感じた。
横を見ると、桜が猫を抱えながら俺に寄りかかるように眠っていた。
多分、俺を探し出してもくれたんだろう
そんな桜に胸が締め付けられながら、俺は遠慮がちに桜を起こす。
「おい、おい、桜」
「ん……んー、んあ？ って、あ！！ もう朝か！？」
起きるや否や大きな声で、しかも俺の耳元で叫ぶものだから、俺は反射的に耳を塞いだ。
そんな俺に、桜は肩を掴みにかかりこう言った。
「A、兄貴が多分まだお前の事探してる、昨日電話があったんだお前の家から」
「あ……あー、すまん、ご迷惑おかけしました」
「とりあえず兄貴の所に行ってやれ、多分お前の家の近くをうろうろしてるはずだ」
昨日の今日で気まずいな、そんな事は思っていられないのだろう。
俺は桜に礼を言い走り出す。
謝らなければ、昨日の俺は冷静じゃなかった、今すぐに、謝らなければ。
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ヒビキ(プロフ) - めっちゃ面白かったです！夢主君可愛かったですww今までにないストーリー構成でとても楽しめました！新作なのですが、男主のファンタジー学園もの（女の子との恋愛はなし）だと嬉しいです！新作の方も内容がなにであろうと楽しみにしております！ (2017年8月10日 20時) (
レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
ろでる(プロフ) - 主人公の心情が揺れ動く姿がとても丁寧で、最後の文を読み終わった時に思わず微笑んでしまいました。とても面白かったです。新作についてなのですが、男主でローファンタジーをリクエストします。新作も楽しみです！ (2017年8月9日 20時) (レス) id: edada860be (このIDを非表示/違反報告)
春猫(*`´) - 面白かったです!更新 頑張ってくださいね! (2017年7月1日 10時) (レス) id: 980aa223ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドロー | 作成日時：2017年6月28日 10時
