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気持ちの変化 ページ22

「はい、どーぞ」

「あ、さんきゅ……」

目の前に居る朔間は、何もなかったかのように上機嫌で俺に湯呑みを差し出した。
あんな現場を目撃してしまった手前、俺は朔間に対し、優しくなんて出来ない。
軽く戸惑ながら湯呑みを受け取る。

桜に居間に通された時、朔間が居て驚いた。
当然向こうも気まずいのだろうなとばかり思っていたものだから
此奴だけが平然として居るのが気に入らない。

だから目も合わせずに、湯呑みの中のお茶を飲む。
熱いお茶はみるみる俺の体温を上げていった。

そんな俺を見て何を感じたのか、朔間は俺に近づき口を開いた。

「あんさ……告白の返事、やっぱいらねぇや」

「え?」

苦笑いで笑う朔間に、俺の頭は処理が追いつかない状態だった。
あわよくば、今ここで、俺も好きだと言おうと、そう思っていたのに。

まさか、秋の事を好きになってしまったというのは、本当だったのか。
だから、俺からの返事はいらないなんて……

そんな事を考えてしまうくらい、俺は此奴のことを好いているのだと、改めて実感する。
いっぱいいっぱいになりながら、俺は口を開く。

「お前は、秋が好きなのか……だから返事はいらないなんて……」

自分でも気持ちが悪いくらいにネガティブだった。
自分でも気持ちが悪いくらい朔間の事を考えている。

お前は俺の事が好きなんじゃなかったのか?

そう思っての発言だった。

当然、「そんな事無いよ」
そう言ってくれると思っていた、思っていたんだ。

絶対に此奴は俺の事が好きなんだ。
そんな確証のない自信を胸に、俺は朔間の言葉を期待した。

だが、返ってきた返事は予想だにもしない、それはもう俺の心を深く抉る一言だった。


「だったら、どうすんの?」

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ヒビキ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!夢主君可愛かったですww今までにないストーリー構成でとても楽しめました!新作なのですが、男主のファンタジー学園もの(女の子との恋愛はなし)だと嬉しいです!新作の方も内容がなにであろうと楽しみにしております! (2017年8月10日 20時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
ろでる(プロフ) - 主人公の心情が揺れ動く姿がとても丁寧で、最後の文を読み終わった時に思わず微笑んでしまいました。とても面白かったです。新作についてなのですが、男主でローファンタジーをリクエストします。新作も楽しみです! (2017年8月9日 20時) (レス) id: edada860be (このIDを非表示/違反報告)
春猫(*`´) - 面白かったです!更新 頑張ってくださいね! (2017年7月1日 10時) (レス) id: 980aa223ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロー | 作成日時:2017年6月28日 10時

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