妹、加賀桜 ページ3
眠れずに夜を明かした俺は、玄関前に突っ立って居る。
何故かって?
多分扉の向こうには彼奴が居る、だから、心の準備をしている最中なのだ。
スーハーと深呼吸を一度、胸に手を当てて心を落ち着かせる。
「……よし」
目を瞑ると昨日の光景が鮮明に残っている。
俺は覚悟を決めて扉を開けた。
「よ、よお! お、おはよ……ってあれ?」
扉を開けた先には、居ると思っていた奴が居ない。
拍子抜けした俺は、少しの不思議と羞恥を感じながら、登校路を歩く。
「何だよあいつ……」
ブツクサと文句を言いながら、歩幅を大きくして歩き、怒りを露わにした。
それと同時に、少し心配をしてしまう。
何時も一緒に登校路を歩いていた、突然居なくなれば心配だってする。
いつの間にか、彼奴の事で頭が一杯で、彼奴の事しか考えられなくて
自分を少し気持ち悪く感じながら、学校へと向かった。
**
「……え、風邪?」
「そうなんだよな、珍しいだろ彼奴が風邪とか、知恵熱出したとか言ってたけど
お見舞い来るよな、兄貴に言っとく」
廊下の片隅で彼奴の妹と話をしている。
どうしても何かあったのかと不安な俺は、聞かずにはいられなかった。
男を勝りな彼奴の妹、加賀桜
昔はよく一緒に遊んでたような記憶がある。
「さんきゅ、よろしく頼むわ」
「ま、任せろ」
桜の頭に手を乗せて、ポンポンとひと撫で
サラサラの髪が指に吸い付くようで、こいつの頭は癖になる。
その後に任せろと言った桜の声は何処か照れているようで。
俯いていて表情がわからないけれど、俺の手を振り払おうとはしなという事は嬉しいのだろう。
それが、少し可愛く思ったりしている。
「んじゃあな、また後で」
髪から手を離し、予鈴が鳴る前に戻ろうと体を捻り手をあげる。
そして歩こうとしたのだか、袖が引っ張られるような感覚。
後ろを振り向くと、桜が俺の袖を引っ張っていた。
俯いているのには変わり無いが、何処か様子が変だ。
「ど、どうした? 」
「あ、あの……えっと」
何時ものような気迫が無く、声も小さい
まさか、彼奴の風邪が移ってるとか?
そう考えたりもしたのだけれど、此奴は無理をするような奴ではない。
未だ俺の袖を掴みながらモゴモゴと、口を動かしている桜。
「あー……桜? 」
「あの、あのっ、せ、先輩!」
「ふぁ!? は、はい!?」
いきなりの大声と先輩の一言に驚いた俺も、何故か大声になってしまった。
要件は何だろう
手を動かしてモジモジとしている桜。
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ヒビキ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!夢主君可愛かったですww今までにないストーリー構成でとても楽しめました!新作なのですが、男主のファンタジー学園もの(女の子との恋愛はなし)だと嬉しいです!新作の方も内容がなにであろうと楽しみにしております! (2017年8月10日 20時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
ろでる(プロフ) - 主人公の心情が揺れ動く姿がとても丁寧で、最後の文を読み終わった時に思わず微笑んでしまいました。とても面白かったです。新作についてなのですが、男主でローファンタジーをリクエストします。新作も楽しみです! (2017年8月9日 20時) (レス) id: edada860be (このIDを非表示/違反報告)
春猫(*`´) - 面白かったです!更新 頑張ってくださいね! (2017年7月1日 10時) (レス) id: 980aa223ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドロー | 作成日時:2017年6月28日 10時