自分の一部 ページ19
教室を勢いよく飛び出した俺は、学校の扉から体育館へと繋がる通路を歩いていた。
苛つきからか自然と速足になり、すれ違う部活終わりの生徒が、吃驚した様子で俺を見つめる。
だが、そんなものには気にも止めず、体育館への道を急いでいた時
その途中にある水飲み場で俺は見てしまった。
秋と朔間が仲良さげに笑っている所を、朔間が秋の頭を撫でている所を。
衝撃が頭に走る感覚がして、何も考えられず真っ白な頭のまま、その光景に瞳が吸い込まれていく。
数秒間その光景に目を奪われ、頭が覚醒した時には、俺の心にはどす黒い感情が渦巻いていた。
俺には文句を言うくせに、自分は後輩と仲良さげに笑っているのか。
それに、未だに秋の頭に朔間の手は乗っかっているままで。
朔間に触れるな
咄嗟にそう思ってしまう。
ああ、俺、嫉妬してるんだな
自分でもそう思うくらい、今は最低な事しか考えられなかったし、妬ましい気持ちが俺を支配している。
秋の存在が鬱陶しい、秋の存在が羨ましい。
俺には頭なんて撫でて来ないくせに……と
歯を食いしばり、目の前に映る現実に目を背ける
俺が怒る資格なんて無いのだろうけれど、苛ついて仕方がなかった、心の中で怒る分には良いのだろうけれど
本当は声に出したくて仕方がなかった
本当は今すぐにでも朔間の元へ走っていって、秋から朔間を遠ざけたかった。
折角仲良くなれたのに
こんなすんなりと、秋のことを邪魔だと思ってしまう。
そんな自分が嫌で仕方なくて、俺はその場から逃げ出すように水飲み場を後にした。
**
1人で帰宅中、相談事があるという秋をほったらかして、自分は一体何をやっているのだろうか。
そんな事を思いながら、ダンボールに入れられている子猫を撫で、独り言を漏らす。
普段なら気にも留めないダンボール箱、この日だけは誰でも良いから話を聞いて欲しかった。
本当に自分は情けない、好きなら好きだとはっきり言えば良いのに……
猫を撫でながらそう思う。
あれだけ期待されていた告白の返事は未だ言えていないままで
散々待たされた挙句に他の男と仲良くなっていた俺に、朔間は一体何を思ったのだろうか。
思考すればするほど、悲しい現実が俺の頭の中をいっぱいにする。
まさか
朔間は、秋のことを好きになってしまったのだろうか
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ヒビキ(プロフ) - めっちゃ面白かったです！夢主君可愛かったですww今までにないストーリー構成でとても楽しめました！新作なのですが、男主のファンタジー学園もの（女の子との恋愛はなし）だと嬉しいです！新作の方も内容がなにであろうと楽しみにしております！ (2017年8月10日 20時) (
レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
ろでる(プロフ) - 主人公の心情が揺れ動く姿がとても丁寧で、最後の文を読み終わった時に思わず微笑んでしまいました。とても面白かったです。新作についてなのですが、男主でローファンタジーをリクエストします。新作も楽しみです！ (2017年8月9日 20時) (レス) id: edada860be (このIDを非表示/違反報告)
春猫(*`´) - 面白かったです!更新 頑張ってくださいね! (2017年7月1日 10時) (レス) id: 980aa223ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドロー | 作成日時：2017年6月28日 10時
