後輩、萩野秋 ページ14
朝、目を覚ますと眩しい太陽の光が、カーテン越しに伝わってくる。
そんな晴天の今日。
俺は今日、彼奴に告白の返事をしようと思う。
もう少し考えさせてくれ、そう言ってまだ時間は経ってないが、俺の中で結論が出てしまった。
俺は彼奴の告白を受けようと思う。
ベットに座り込みながらそう決意した朝
だけど、人生思い通りには行かないものなのだ。
**
「はよ、A」
「うおっ!? お、おおおはよう」
背後からいきなり肩を叩かれて吃驚しながら返事をする。
そんな俺が滑稽だったのだろうか、隣で笑いを堪えている朔間は無視して
下駄箱から上履きを取り出し、教室へと足を進めた。
そんな時
人影が俺の体へ覆い被さる、その直後
何だと振り向いた俺に、朔間は耳元でこう言った。
「告白の返事、楽しみにしてるね」
耳元のくすぐったさと、何故知っているという不思議で、俺は数秒間固まったままだった。
その間に背後の彼奴は、俺の頭を撫でた後に通り過ぎ、俺の気も知らずに、そそくさと教室へと向かっていった。
「なっ、な、何なんだよっ……」
**
今日の授業はまともに受けられなかった。
視界の隅に、彼奴が入り込んでくるからだ。
今か今かと待ち構えて、機嫌をよくしている姿勢はとてつもなく腹が立った。
何時も此奴に振り回されてばかりだ。
お昼休みの昼食の時間、俺はパンを食べながら、目の前でニヤニヤと笑っている朔間の事ばかり考えてしまう。
「お前、こっち見んなようぜえ」
チラリと朔間の方向を見てそう言う俺
「いいだろ別に、好きな奴を凝視して何が悪いの?」
ジーっと俺の方向を見てそう言う朔間。
恥ずかしく無いのだろうか、サラリと好きなんて言っているが
俺には到底無理な話だ、サラリと好きなんて言えたら、今頃とっくに告白の返事は言えている。
俺は朔間から目線を外し、パンを食べ終えた。
そして、放課後には必ず返事をしよう、と決意した。
**
当の放課後、決意したのは先程の事
俺は早くも帰りたくなっていた、その原因は目の前の此奴。
「工藤先輩、朔間先輩に近づかないでもらえますか?」
「はい? 言っている意味がよく分からないんだが……」
放課後に朔間を呼び出そうと、授業の合間のトイレ休憩の時に下駄箱に紙を入れておいたのだが
何故かそれを此奴が持っていて、その紙をピラピラと見せつけながらそう言う此奴。
俺は今、名前も知らない後輩に威嚇されている。
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ヒビキ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!夢主君可愛かったですww今までにないストーリー構成でとても楽しめました!新作なのですが、男主のファンタジー学園もの(女の子との恋愛はなし)だと嬉しいです!新作の方も内容がなにであろうと楽しみにしております! (2017年8月10日 20時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
ろでる(プロフ) - 主人公の心情が揺れ動く姿がとても丁寧で、最後の文を読み終わった時に思わず微笑んでしまいました。とても面白かったです。新作についてなのですが、男主でローファンタジーをリクエストします。新作も楽しみです! (2017年8月9日 20時) (レス) id: edada860be (このIDを非表示/違反報告)
春猫(*`´) - 面白かったです!更新 頑張ってくださいね! (2017年7月1日 10時) (レス) id: 980aa223ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドロー | 作成日時:2017年6月28日 10時