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衝突 ページ12

今現在の話、俺は朔間に腕を引っ張られている。

あの後、桜を鋭く睨んだ朔間は
「調子に乗んな」 そう言い放ち、俺の腕を引っ張り歩き出した。

力強く掴まれている腕は少々痛み、だが痛いと言える状況ではなく
俺はなすがまま、朔間について行った。


**


「えっ、ちょっ、何だよ此処」

数分歩いたのだろうか、俺は人気の少ない林の奥に連れ込まれた。
未だ夕日は沈みかけている最中で
だけど林の奥は暗く、辺りが見えない。

俺が不安になっていると

「……A、お前誰にでもキスさせんの?」

「は? さ、させね」

「さっきやってたろ桜と、拒絶しろよ、何でしねえの?」

何時もよりも低めの声色で、朔間は話す。
怒っているのだろうか、ずっと下を向きっぱなしで、ずっと俺の腕を掴んでいて
掴まれた手はギリギリと爪が食い込む程強く握られている。
痛みに耐えながら眉根を寄せる。

「っ、仕方ねえだろ、突然だったんだよ」

声を振り絞って出すが声が震えていた。
こいつの圧力と、周りの暗い雰囲気に呑まれたのだろうか。

そんな事をボンヤリと考え、朔間を見ると、此奴は唐突に顔を上げ鋭い目付きで

「危機感無さすぎんだよお前は、馬鹿じゃねえの」
そう言った。

余りにも腹が立ったもので、俺も朔間を鋭く睨み返すのだが、目の前の此奴は怯む仕草さえ見せず
だったら口答えしてやろうと、俺は喋り出した。

「は!? な、何でお前にんな事言われなきゃ、ちょ、おい、何だよ」

が、此奴は俺の話しなんて1ミリも聞かずに、顔を近づけくる。

俺は身の危険を感じ、勢い良く朔間から一定の距離を開けた。
だが、直ぐに引き戻された。
俺の胸ぐらを強く掴む此奴は、何処か悲しそうに俺を見ている。

「な、何だよ……」

「受け入れようとしてたじゃねえか…… 何で駄目なんだよ」

此奴の声が震えていた
此奴の手が震えていた

見ていられない、こんな弱々しい此奴は見ていられない。

俺は胸ぐらを掴まれたままなのにも関わらず、朔間の頭を胸に押し付けた。
そのままポンポンと頭を撫でてやる。

「A……」

すると、震えは徐々に収まっていき、朔間は俺に顔を埋めたまま言う。

「俺のキスも受け入れようとしろよ、拒絶すんな」

しおらしいと思っていた朔間は、声で苛つきを露わにさせながら
顔を上げて俺の唇へ、自分の唇を押し当てた。

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ヒビキ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!夢主君可愛かったですww今までにないストーリー構成でとても楽しめました!新作なのですが、男主のファンタジー学園もの(女の子との恋愛はなし)だと嬉しいです!新作の方も内容がなにであろうと楽しみにしております! (2017年8月10日 20時) (レス) id: b814e0d67a (このIDを非表示/違反報告)
ろでる(プロフ) - 主人公の心情が揺れ動く姿がとても丁寧で、最後の文を読み終わった時に思わず微笑んでしまいました。とても面白かったです。新作についてなのですが、男主でローファンタジーをリクエストします。新作も楽しみです! (2017年8月9日 20時) (レス) id: edada860be (このIDを非表示/違反報告)
春猫(*`´) - 面白かったです!更新 頑張ってくださいね! (2017年7月1日 10時) (レス) id: 980aa223ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロー | 作成日時:2017年6月28日 10時

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