ある夏の話 ページ45
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京都、左京区の_______ある寺。
ミーンミンミンジー・・・と、蝉の鳴く声が辺りの木々から響く。
夏の風物詩といえば聞こえはいいが、喧しいこの声が、地獄の様なこの暑さをより際立たせているのは間違いない。
「・・・一回、静かにしてくれないかな」
人が居ない、日に焼けた寺の前にある石階段に座る、赤髪の少女。
日除けの帽子を被る彼女は、髪と同じ色の美しく、どこか大人びた瞳で空を仰ぎ、そう呟く。
では何故日陰ではなく、暑い日向に居るのか。
その答えは、彼女の待ち人にある。
「お待たせー！」
噂をすれば、その待ち人がやって来た。
否、正しくは
ギラギラした太陽の下、ハッキリと顔は見えない。
ただ彼女の長く美しい黒髪と、紺のワンピースが風で靡いているのが判った。
同い歳位の彼女の胸には、本が抱えられている。
「遅い」
「ごめん、ごめん。ちょっとこれを借りるのに手間取っちゃって・・・」
出会って開口一番、驚きもせずズバッと二言、不機嫌そうに赤髪の少女は云う。
それに対し「許して？」と本を脇に抱え、黒髪の少女は手を合わせて、彼女を見詰めた。
髪と同じ穢れの無い、黒色の瞳で見詰められたその少女は、少しした後溜息を吐く。
「・・・良いよ、別に。もう慣れたし。それより私は、買い物に行くだけの待ち合わせに、あんたがこんな場所を選んだ事に疑問」
「良いじゃない、このお寺。私は好きだけど・・・ってこら、またそんな可愛くないこと云って。それに________」
抱えていた本を膝に置き、むにっ、と彼女は赤髪の少女の頬を両手で包み、目を合わせる。
「��あんた��じゃなくて、��姉さん��でしょ？」
「いや、歳そんなに離れてないし・・・」
目を細め、少し呆れる彼女の云う通りだった。
いくら養子縁組がきっかけで、姉妹なったとはいえ年齢も二つ位しか変わらない。
だから姉と呼ぶには少し、少女には抵抗があった。
そんな悩みを振り切る様に、黒髪の少女・・・もとい彼女の姉は、その手を握って走り出す。
「はっ・・・ちょっ、ちょっと！」
「良いから、良いから！行くよ___________！」
寺から二人の楽しそうな姿が、声が遠ざかる。
これは未だ________誰も知らない。
隠された、夏の話
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ただの本好き(プロフ) - 番外編を作りました。宜しければリクエストご応募下さい！ (2019年2月18日 16時) (
レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - 私は太宰さん！あと、ドストエフスキーさんとか、中也も大好き！賢い所とか強い所に惚れちゃったです(////∧////) (2018年12月5日 0時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» お返事遅くなって申し訳ございません・・・！そうですね、文ストのキャラは皆魅力的なのでとても迷いますが・・・選ぶなら新旧双黒ですね。あの四人のやり取りが面白くて好きです。Touaさんは？ (2018年12月4日 19時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - ただの本好きさん» 確かに、双黒の戦闘シーンとかは最高ですね！ただの本好きさんの推しは誰ですか？ (2018年12月3日 21時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» 私は全部好きです。アニメでは確かに漫画や小説ではある所が省略されてしまうけど、声があるし戦闘シーンでは絵や文章では味わえない迫力がありますから！ (2018年12月3日 20時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ただの本好き | 作成日時：2018年11月4日 14時
