御使いの失敗 ページ35
(続)
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二人を送り出して数十分後。
バツン
潜入した鏡花が配電室に入り、敦から貰った
施設内の電気が落ち、辺りが真っ暗になった。
『あ、切れた』
「切れたね」
建物内に居る人々が右往左往する中、この状況を態と作り出したと云っても過言ではない二人はそう呟く。
美月は携帯を取り出して誰かに電話し、優花はそれまで読んでいた文庫本を閉じてポケットにしまった。
「うん、うん。大丈夫、私達も直ぐに行くから待ってて」
『・・・敦君?』
通話を終えた美月に、彼女は聞いた。
美月が頷いた後、優花は苦笑いを浮かべて『早く行かないとね』と云い、そのまま二人は暗いホールの中を進み、敦達の居る場所へと向かった。
『な・・・長かった・・・・』
「ちょっと想像以上だったね・・・」
「・・・御免」
鏡花にスタンガンをぶっ放された判事に散々怒られ、漸く解放されて現在位置、公園。
苦笑いで云う優花と美月の声を聞いてか、ベンチに座って落ち込んでいる鏡花が、ポツリと呟いた。
『気にしなくて宜いよ』と優花が笑顔で励ます間、美月が敦の肩を突き、耳打ちする。
「近くのクレープ屋さん、一番高いの買って来て」
「え」
「お代は私が出すから」
「・・・判りました」
美月と優花の二人は鏡花を間に挟んで、彼女を何とか励まそうと、最近の話題を話したりするが効果は薄い。
少しして敦が戻り、鏡花にクレープを手渡した。
「にしても吃驚したよ。鏡花ちゃん実は暗殺者の才能が・・・むぐっ」
『あ、ごめーん本が』
咄嗟に取り出した文庫本で敦の口を塞ぐ。
ジト目を向ければ気付いた様で、申し訳なさそうな顔をした。
「停電する処までは良かったのに・・・」
『あれは凄かったねー』
「私も驚いちゃった」
鏡花の呟きに二人は笑い、敦は「そこまではいいのか」の心の中で思う。
「何か新しい特技を覚えれば善いさ。例えば・・・」
「色仕掛け?」
「それはもう忘れなさい」
「女の子がそんな事してはいけません」
『川村さんがツッコミを・・・!?』と優花は本を捲りながら、先程の敦の様に心の中で呟く。
その時僅かに風が吹き、彼女が読んでいる本のページがピラピラと動くように、鏡花の首にかかった携帯が揺れた。
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ただの本好き(プロフ) - 番外編を作りました。宜しければリクエストご応募下さい! (2019年2月18日 16時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - 私は太宰さん!あと、ドストエフスキーさんとか、中也も大好き!賢い所とか強い所に惚れちゃったです(////∧////) (2018年12月5日 0時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» お返事遅くなって申し訳ございません・・・!そうですね、文ストのキャラは皆魅力的なのでとても迷いますが・・・選ぶなら新旧双黒ですね。あの四人のやり取りが面白くて好きです。Touaさんは? (2018年12月4日 19時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - ただの本好きさん» 確かに、双黒の戦闘シーンとかは最高ですね!ただの本好きさんの推しは誰ですか? (2018年12月3日 21時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» 私は全部好きです。アニメでは確かに漫画や小説ではある所が省略されてしまうけど、声があるし戦闘シーンでは絵や文章では味わえない迫力がありますから! (2018年12月3日 20時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ただの本好き | 作成日時:2018年11月4日 14時