ランチの誘い ページ23
(優花said)
____________
______
モンゴメリちゃんの一件から少し。
私達は、顔色が悪くなった鏡花ちゃんと一緒に社に戻り、皆に何があったのか詳しく説明した。
それから川村さんは会議室に呼ばれ、自分が行った事件現場の現状報告へ。
敦君達は鏡花ちゃんを運んだ後、幾つか擦り傷があったので、軽く手当てをして自分の仕事に戻って行った。
という風に皆は別々になり・・・一方私は、川村さんに此処で待っていてほしいと云われた為、自分の席に座って本を読んでいる。
この世界で最近人気の作家らしく、私の本好きぶりを知る事務員さん達に、もし良かったら、と勧められた。
内容はとても面白く、文句の付け所は無いが・・・折角の気分も、今日の事を思い出すと憂鬱になる。
森さんの目______あれは間違いなく気付いている。
リスク覚悟で行ったので、勿論後悔は無い。
一刻も早く、元の世界に帰るためなのだから。
でも・・・そろそろ、新たな方法で情報を見つけないといけない。
そう考えながら、私は本を閉じて視線を鏡花ちゃんが眠る医務室に向ける。
酷く怯えた顔だったが、今では何事も無かったようにグッスリと眠っていると、先に医務室から出て来た谷崎さんから聞いた。
『鏡花ちゃん・・・』
この世界の流れを守る為とはいえ、私がもう少し何かしていれば、あんなに怖い思いをさせる事はなかった。
______つくづく、自分の力不足に腹が立つ。
そう思いながら、本を強く握り締めたその時。
「優花？」
はっとして、声のする方に顔を向けると、其処には「お待たせ」と笑う川村さんが居た。
『国木田さんとの話は、もう終わったの？』
「えぇ。優花も御免ね、聞いたよ？私の我儘の所為で怒られたって」
『あぁ、良いの良いの』
笑ってそう返し、私はあの時の国木田さんの顔を思い出だす。
最初は石像の様に固まって、ちょっと面白かったのだが、怒るともう大変。
学校の教師でも、あんなに怖い先生は今時なかなかいないだろう。
「そうは云ってもなー・・・あ、そうだ。優花」
『ん？』
脳内で国木田さんの鬼の形相をそうやって頭に浮かべていた時、私はそれを止めて彼女を見た。
その顔には、年頃の女性が浮かべる可愛いけど綺麗な笑顔が。
「昼食、食べに行かない？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ただの本好き(プロフ) - 番外編を作りました。宜しければリクエストご応募下さい！ (2019年2月18日 16時) (
レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - 私は太宰さん！あと、ドストエフスキーさんとか、中也も大好き！賢い所とか強い所に惚れちゃったです(////∧////) (2018年12月5日 0時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» お返事遅くなって申し訳ございません・・・！そうですね、文ストのキャラは皆魅力的なのでとても迷いますが・・・選ぶなら新旧双黒ですね。あの四人のやり取りが面白くて好きです。Touaさんは？ (2018年12月4日 19時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - ただの本好きさん» 確かに、双黒の戦闘シーンとかは最高ですね！ただの本好きさんの推しは誰ですか？ (2018年12月3日 21時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» 私は全部好きです。アニメでは確かに漫画や小説ではある所が省略されてしまうけど、声があるし戦闘シーンでは絵や文章では味わえない迫力がありますから！ (2018年12月3日 20時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ただの本好き | 作成日時：2018年11月4日 14時
