たえまなく過去へ押し戻されながら 四 ページ16
(続)
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彼女は思った。
______"不味い"、と。
それは、敦に話を振られたのでもない。
白衣の男と話す事にでもない。
実際に"見かけた"からだ。
優花は彼等が話している人物を、この空間に連れて来られる前に偶然見かけた。
この男から離れられたのが余程嬉しかったのだろう、ウキウキしていた顔が記憶に新しい。
『・・・拝見しても?』
「あぁ、勿論。どうぞ」
そうして写真を受け取り、目を通す。
金髪に青い目、赤い薔薇の様な色の服。
知っている、この写真など見なくても。
もっと云えば、貴方に会う前から・・・という言葉は胸の奥に仕舞い、写真を返し一言。
『済みません、私もです』
「そうか・・・。エリスちゃんと云う名でね、もう目に入れても痛くない位愛らしいのだよ!
あ、
"本当に入れたって如何云う事だ"
そんなツッコミをまた胸の奥に仕舞い、その後も喋り続ける男の言葉を優花は右から左に流す。
この男にはツッコンでもツッコミ切れないと理解しているからだろう。
『この世界のことを知っていてつく嘘』と、
『人物、物、または情報を原作より先に知ってしまいつく嘘』は、全く違う。
偶々とはいえ、出会った事を隠すのは大変だと彼女が思っていた時、モンゴメリの声が響いた。
「ルールは簡単よ!可愛いアンと追いかけっこをして、タッチされたら皆さんの負け。捕まる前にその鍵でドアをあげれば皆さんの勝ちよ。人質をみんなお返しするわ。
それで、参加されるのは誰?」
「優花ちゃんはその人の護衛を。僕と敦君で参加する」
『判りました。・・・二人共、気をつけて』
「うん」
二人を見送った後、優花は男の近くに寄り異能を使う準備に入った。
「作戦会議は終わったようね。準備はよろしくて?」
「ああ」
参加者二人の間に現れた鍵。
谷崎がそれを手にした瞬間だった。
「ひとりめ、捕まえた☆」
「「『!?』」」
既に彼の背後に、アンが居た。
何本もの腕で完全に谷崎を捕えると、人質部屋から無数の腕が出る。
それらは叫び声をあげる彼を掴んで中へと引っ張り込み、閉じ込めた。
ほんの僅かな間に起こった出来事に、敦達は唖然とするしかなかった。
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ただの本好き(プロフ) - 番外編を作りました。宜しければリクエストご応募下さい! (2019年2月18日 16時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - 私は太宰さん!あと、ドストエフスキーさんとか、中也も大好き!賢い所とか強い所に惚れちゃったです(////∧////) (2018年12月5日 0時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» お返事遅くなって申し訳ございません・・・!そうですね、文ストのキャラは皆魅力的なのでとても迷いますが・・・選ぶなら新旧双黒ですね。あの四人のやり取りが面白くて好きです。Touaさんは? (2018年12月4日 19時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - ただの本好きさん» 確かに、双黒の戦闘シーンとかは最高ですね!ただの本好きさんの推しは誰ですか? (2018年12月3日 21時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» 私は全部好きです。アニメでは確かに漫画や小説ではある所が省略されてしまうけど、声があるし戦闘シーンでは絵や文章では味わえない迫力がありますから! (2018年12月3日 20時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ただの本好き | 作成日時:2018年11月4日 14時