九話 ページ10
夏油がいなくなって、五条が変わって、乙骨っていう新しい特級術師が仲間になった。すごいよね。高２で身長１８０もある高スペックイケメン。なんか結婚指輪もつけてるし、もう人生勝ち組じゃん。五条でさえ顔がいいんだから、色々と死ぬ。
もう三十路だよ。おっさんだよ。
五条や乙骨といった超絶イケメン男子たちの中で一人三十代の俺は完全に薹が立っている。彼らたちとの共通点なんて生物学上男であることくらい。これでも、昔は蝶よ花よと育てられ、近所でも評判の美少年だったはずなのに。
前世の記憶が戻ってからも、今生の自分の顔面の出来には満足していたのだけれど、生憎、周りの子がイケメンと美形すぎる上に呪術師に入ってからは誰にも褒めてもらえないことで目が醒めた。自分ではそれなりにイケメンに生まれたなぁ、と思い込んでいたけれど、俺は不細工だったのだ。褒めようがないよね……精神的に死ぬわ。
後輩がイケメンすぎて泣けること以前、同僚の九十九さんもこれまた大層な美人なのだ。
ボンキュッボンのイケてる女の人で身体のラインにそったライダースーツがこれまた似合ってた。任務帰りでたまに合うことがあるくらいだが、一緒に酒を飲むくらいには仲がいい。
「あ！Aくん。久しぶりだね。元気してたかい？」
「由基ちゃん……あんた、また任務サボっただろ？」
「えー、人聞き悪いなぁ。全部Aくんが倒せるから問題ないじゃん」
「俺、最近眠ってないんだよッ！」
最初は九十九さん呼びだったが、同僚だから仲良くしようということで名前呼びになっている。九十九さんみたいな完璧な女性を呼び捨てにするわけにもいかず苦し紛れのちゃん付けだ。
しかし、そんな陽気な同僚には大きな欠点があった。
彼女はあまり任務にいかないのだ。ほとんどやりがいのある任務しか引き受けない。いわゆる、サボり魔だ。そのおかげで彼女の任務のぶんの呪霊は全部俺が祓っている。
ということで俺は今絶賛、筋肉痛プラスクマに襲われている。
それでも、九十九さんと腐れず仲がいいのは彼女の性格が人付き合いがいいことは言うまでもないだろう。
九十九さんは会う度に「今日もカッコいいねAくん」って言ってくるけど、新手のイジメかな？ 同い年のよしみで話しかけてくれるのはありがたいがやめてくれ。どちらかと言えばアンタのほうがカッコいいよ、と思うだけだ。
相変わらずの同僚の様子にAはふ、と軽い息を吐いた。
続く
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海月 - とても面白かったです、更新頑張って下さい！ (2021年10月21日 9時) (
レス) @page10 id: f400237f3c (このIDを非表示/違反報告)
連 - 面白くて一気に見ちゃいました！更新頑張ってください (2021年10月3日 22時) (レス) @page1 id: 7e4922104a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怪獣 | 作成日時：2021年9月26日 15時
