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八話 ページ9

これは、中々好感を持てたってことでいいのかな、とふけっている間にも銀髪の坊は「これ、貰っていい?」と首をかしげて俺に問いかける。

 うっ……顔が眩しい。十代の若者って素晴らしいとしみじみ思い知る。お茶を渡せるくらいには打ち解けたみたいだし、自己紹介をしてもバチはあたらないだろう。


「俺は、幸野谷Aっていうんだ。一応、特級。よろしくな」


 俺はクソざこだから、もしもの時は守ってねという念と共に握手を求め腕を差し出すが、生憎銀髪の坊は俺の手を払った。え?もしかして失礼だったかな。と思っているとすぐに悪戯が成功した子供のように顔を悪くする。


「五条悟」


 彼はそう言うと、俺の隣でクッション性が効いたソファにドカッと座った。おお、学生は自己紹介しただけでこんなにも仲良くしてくれるなんて……、本当に若いって素晴らしい。
 お互い話していくうちに、五条の親友のあのお団子髪のイケメンは夏油と言って、あともう一人の同級生の少女は家入と言うことは分かった。



 俺が術師を止めるの夢は叶わず、今日も今日とて俺は特級を続けている。特級になってから十一年の月日が流れ、特級の顔ぶれもごっそりと変わった。十九の時と変わらないのは、九十九さんだけだ。二人揃って最古参だよ、やったね! 九十九さん、いつもお世話になってます!
 
 しかもね、俺に至っては現役隊士で最古参の噂が立っている、まじで? みんな、辞め過ぎじゃない? 死に過ぎじゃない? もしかして俺の職場ブラック過ぎ……?

 ほとんど年下ばかりになった特級の中で俺は未だに最弱。もういい加減、辞めたい。実力派揃いの術師の中でネタ枠のお茶汲みやるのも辛いんですよ? 絶対、みんな裏で笑ってるって。

 しかもね、みんなして気を遣ってくれてるのか俺のお茶をめちゃくちゃ褒めてくれるんですよ。「美味しい」「落ち着く」「幸せになるな」ってね。いい子だなぁ。いい子だけれど傷つくわ。ギリギリそこしか褒めるとこないんかい! いや、わかるけどね?



 
 夏油と五条は、おそらく俺が海外の出張に行ってる間、何かあったんだろう。帰ってきたときには五条はサングラスをしていなくて、目隠しの包帯のようなのを見につけていた。
 
 俺はあまり五条の過去について深追いしなかった。それがアイツにとっての最大の慰めというか思いやりだと思ったから。五条も五条で俺に何も言わなかった。

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海月 - とても面白かったです、更新頑張って下さい! (2021年10月21日 9時) (レス) @page10 id: f400237f3c (このIDを非表示/違反報告)
- 面白くて一気に見ちゃいました!更新頑張ってください (2021年10月3日 22時) (レス) @page1 id: 7e4922104a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怪獣 | 作成日時:2021年9月26日 15時

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