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「はーいみんな注っ目!」
薄い扉越しにすっとんきょうな声が聞こえる。
東京都立呪術高等専門学校、五条先生の言葉を借りるならば”呪術高専”
今日から僕が編入する学校だ。
...... .....
扉越しにでも分かる冷めた空気に、頭が真っ白になる。
「転入生を紹介しまぁす!ささ入ってきてー」
『...失礼します___』
『___......っえ、?』
意を決し教室に入った途端、軽蔑の眼差しが胸を刺す。
言葉には言い表せない、だけど目から、耳から、肌から、伝わって来る怨みの感情。
首筋に冷や汗が伝うのがわかる。___これは、殺意だ。
『工藤Aです、え_とっ』
慌てて目線を下におろす。
___顔を上げられない。きっと目を合わせれば......
ぎゅっと目を瞑ると、不意に肩に手を置かれた。
広く大きな手。
頭上から、五条先生の声がする。
「恵、野薔薇」
『...あ、あの___「五条先生!!!」
黒い髪の男子がガタンッと椅子を倒して立ち上がる。
そのまま、僕と五条先生の間に割って入って、先生の胸ぐらを掴んだ。
僕は、その必死な剣幕と状況に、声を発することもできず、ただ立ちすくんでいた。
「何なんですかコイツ...!!この間の少年院から来たって?ふざけんなっ......!!」
『あ.......なん、え?』
五条先生の胸ぐらを掴んではいても、この怒りの矛先は、間違いなく僕自身へのものだった。
「恵___」
「やめて先生、私も伏黒に同感。こんな奴、どうして連れてくんのよ...!」
言いかけた先生の言葉を遮り、茶髪の子が唇を噛み締め、言った。
「虎杖は、死んだのに...」
”イタドリは死んだのに”
__________あ。
あの子だ。
あの日、隣に横たわっていた、あの子だ。
___死んで、いたのか。本当に。
心臓がうるさいほどに音を立てる。周囲の音が、聞こえない。
「野薔薇、言ったよね。この子のせいじゃない」
「でも先生!!」
「先生、俺も納得いきません!!」
「恵、」
「___こいつは犯罪者だ」
『っ___!!』
”違う”
そう言おうと思った。叫ぼうと、思った。
だけど言葉が出てこなかった。
はくはくと、意味のない息が溢れる。
僕をめぐって対立が起こっているのに、最低だ。
何もできない、どうしようもない......無能にも程があった。
”ごめんなさい”
それさえも、言葉にはならなかった。
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國廣 - ありさんさん» 返信できました!助かりました笑!!大好きだなんてそんな、嬉しいじゃないですかー!!面白いって言っていただけてやる気出ました!ありがとうございます!!! (3月26日 1時) (レス) id: f6d4302edd (このIDを非表示/違反報告)
國廣 - 炭治郎の爪になりたいさん» すいませんめっちゃスランプでしたー!!今までの分取り返せるよう頑張りたいです!!それとヒロアカの方も!?本当嬉しい、ありがとうございます!!! (3月26日 1時) (レス) @page20 id: f6d4302edd (このIDを非表示/違反報告)
ありさん - すっごく面白いです!!!あなたの描くお話が本当に大好きです!!!いつも面白い作品を描いてくださってありがとうございます!!!それと、返信はコメントの後ろに書かれたレスという青文字を押すとできますよ!! (3月20日 17時) (レス) @page15 id: 3426d1a1ea (このIDを非表示/違反報告)
炭治郎の爪になりたい(プロフ) - とてもいい所で止まっていて続きが気になります!ヒロアカの方も読ませていただいてます🙇🏻♀️更新頑張ってください! (3月15日 2時) (レス) @page20 id: 31c5d01b1e (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください٩(^‿^)۶ (1月6日 15時) (レス) @page16 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:國廣 | 作成日時:2023年8月18日 0時