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___________
「伏黒、邪魔するわよ」
高鳴る心臓を誤魔化すように、制服の上から胸を押さえる。
やっぱりどういう状況だ......?これ......
「入って」
『え、あっ失礼します__』
恐る恐る部屋に入ると、目の先にはベッドに横たわる伏黒くんがいた。
すぐに目が合う。
その黒い瞳に、思わず視線を落として俯いた。
あの日の殺意を思い出し、指先が震える。
「そこ、座って」
釘崎さんに促され、ベッド脇の椅子に腰掛けた。
それと同時に伏黒くんが上半身を起こす。
どうしよう、
『あの、これって......』
怖い。
不明瞭な物事に挑むのには、恐怖が付き纏うものなのだ。
心臓の鼓動に合わせて、どんどん脳に靄がかかっていく。
「あのさ」
はっきりした声に、意識が引き戻された。
「私たち、あんたのこと誤解してたのよ。......ごめん」
「......」
『ご、かい...』
理解が追いつかず、ゆっくりと咀嚼してその言葉を飲み込んだ。
「私たち、任務が失敗して、虎杖が死んで、あの時どうしたらいいか分からなかったの」
「八つ当たりだった___」
「______ごめん」
『え』
......あぁ、そうか
とようやく気付く。
これは僕に対する謝罪と弁明だ______
「虎杖が生きてるって分かった途端にこんなこと言って、悪いと思ってるわ......」
『その、あの......僕は別に、』
”気にしていない”
そう口にしようとして言葉に詰まる。
どうしよう、言えない......
頭の中が真っ白になっていく。
”大丈夫”
言わなくちゃ。分かってる、二人にだって理由があった。
仕方ないんだって、解ってるのに______...
..._______僕にはなんの価値も無いの、?
それだけが脳内を埋め尽くして思考を邪魔する。
何か言おうとしても、口ははくはくと吐息を漏らすだけで言葉は出てこなかった。
虎杖くんが死んだことに対する”八つ当たり”
虎杖くんが生きているなら”もう関係ない”
僕って一体、何なんだ......?
ひねくれた考えだって、知ってる。
だけど、
二人にとっては虎杖くんだけが全てなの?
それ以外はどうでもいいの?
___違う、そんなはずない。
五条先生だって、先輩だって、呪術だって彼らの一部だ。
それじゃあただ、
”僕”だけが、
どうでもよくて、
使い勝手のいい消耗品だったの?
.
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國廣 - ありさんさん» 返信できました!助かりました笑!!大好きだなんてそんな、嬉しいじゃないですかー!!面白いって言っていただけてやる気出ました!ありがとうございます!!! (3月26日 1時) (レス) id: f6d4302edd (このIDを非表示/違反報告)
國廣 - 炭治郎の爪になりたいさん» すいませんめっちゃスランプでしたー!!今までの分取り返せるよう頑張りたいです!!それとヒロアカの方も!?本当嬉しい、ありがとうございます!!! (3月26日 1時) (レス) @page20 id: f6d4302edd (このIDを非表示/違反報告)
ありさん - すっごく面白いです!!!あなたの描くお話が本当に大好きです!!!いつも面白い作品を描いてくださってありがとうございます!!!それと、返信はコメントの後ろに書かれたレスという青文字を押すとできますよ!! (3月20日 17時) (レス) @page15 id: 3426d1a1ea (このIDを非表示/違反報告)
炭治郎の爪になりたい(プロフ) - とてもいい所で止まっていて続きが気になります!ヒロアカの方も読ませていただいてます🙇🏻♀️更新頑張ってください! (3月15日 2時) (レス) @page20 id: 31c5d01b1e (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください٩(^‿^)۶ (1月6日 15時) (レス) @page16 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:國廣 | 作成日時:2023年8月18日 0時