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『ん......』
見慣れない真っ白な天井、目覚める原因となった話し声。
情報を確立するために、寝ぼけた頭と一緒に無理やり体を起こす。......ここは、手術室?
隣の台には、胸部の真ん中に、大きな穴をつくられた少年。同い年か、少し上くらい。
その掠れた唇を見て、恐怖に脳を支配された。
「お、目が覚めたか」
真っ白な白衣に身を包んだ女の人。この人が、彼を......?
「気分はどうだ?痛むところは?」
『え、あ、ここは......』
視界の端に映る、白髪の男。殺伐とした空気に、肌が切れそうだった。
白髪の男が近づいてくる。
「五条、あまり脅かすなよ」
「ああ」
五条と呼ばれた男に、まじまじと眺められる。
『っ』
黒い布で、目は覆われている。目は合ってない、合わないはずなのに。
全てを見透かしたようなその瞳が怖い。
「君、何歳?」
『16、です』
「名前は?どんな罪を犯したの?少年院で何を見た?悠仁を、この子を見かけた?」
『ひ』
早口でまくし立てられて、僕の脳は、喉は動きを示せなかった。
「五条、脅かすなって」
白衣の女の人が助け舟を出してくれる。「自己紹介してくれるか?」
『工藤A、16歳です。えっと、この子は、見たことありません』
罪、なんて言いたいものじゃないけど、この沈黙はきっとその言葉を待っている。
『......集落放火殺人の罪に問われています』
冷ややかで軽蔑を含んだ空気。ああ、またこれ。頭が痛い。
一体僕が何をしたっていうの、だって僕は___
『でも僕はやってない......!』
気づいたら、そう口にしていた。もう何回も打ち砕かれてきた弁明。諦めたはずなのに。
......いや、諦めてるんだ。もういいよ。自分に言い聞かせるように思った。
「悪いけどそういうのは、私たちに言われても、だ」
『......』
わかってる、わかったよ。知ってるんだそんなの、とっくに。
「Aって言ったよね、君高専に通う気はない?」
は
「はあ?五条、何言ってんだ」
「君、やってないんだね。本当に」
「僕の眼がね、そう言ってる」
『え』
「君は嘘を言っていない」
な、何を根拠に言って......?
喉元まで出たその言葉は、不思議な圧に潰された。
「ねえA、やっぱり君、高専に来なよ」
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國廣 - ありさんさん» 返信できました!助かりました笑!!大好きだなんてそんな、嬉しいじゃないですかー!!面白いって言っていただけてやる気出ました!ありがとうございます!!! (3月26日 1時) (レス) id: f6d4302edd (このIDを非表示/違反報告)
國廣 - 炭治郎の爪になりたいさん» すいませんめっちゃスランプでしたー!!今までの分取り返せるよう頑張りたいです!!それとヒロアカの方も!?本当嬉しい、ありがとうございます!!! (3月26日 1時) (レス) @page20 id: f6d4302edd (このIDを非表示/違反報告)
ありさん - すっごく面白いです!!!あなたの描くお話が本当に大好きです!!!いつも面白い作品を描いてくださってありがとうございます!!!それと、返信はコメントの後ろに書かれたレスという青文字を押すとできますよ!! (3月20日 17時) (レス) @page15 id: 3426d1a1ea (このIDを非表示/違反報告)
炭治郎の爪になりたい(プロフ) - とてもいい所で止まっていて続きが気になります!ヒロアカの方も読ませていただいてます🙇🏻♀️更新頑張ってください! (3月15日 2時) (レス) @page20 id: 31c5d01b1e (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください٩(^‿^)۶ (1月6日 15時) (レス) @page16 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:國廣 | 作成日時:2023年8月18日 0時