鯖芸 ページ6
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結局、立花さんの傘に一緒に入れてもらって事務所まで送って頂けることになった。途中まででいいって言ったんだけど、立花さんの「うるさいよ」で大人しく送られることにした。
私の傘とは違ってそのサイズの大きさに、男の人ってことを意識してしまってドキドキしたり。それ以上に、予想よりも遥かに近い立花さんとの距離を変に意識してしまいそうになって、慌てて口を開いた
『傘、重くありませんか?』
片手で傘をさしてくれている立花さん。私すぐに腕プルプルするんだよね…筋力つけなあかんか
「変わりましょうか?」と提案すると、立花さんはチラッと此方を見て「平気、」と言った
立)「Aと違って俺ちゃんと筋肉あるからね」
『な、私だって鍛えれば…』
立)「無理無理、Aなんかザコそう。」
バッサリ言い切る立花さん。でもね、私メンタル強くなったんでね、めげませんけどね!
『そりゃあ確かにサバゲーガチ勢の立花さんには敵わないかもしれませんけど、』
てか私サバゲーとかやったことないわ。そういや福山さんに誘われたことあったっけなぁ。でも次には「あ、お前すぐやられそうだな」なんて言われたっけなー
『なんだか時々自分が情けなくなります』
そんなことを思い出していたらポロっと出てしまった、冗談でもあって本音でもある言葉。結局誰かに頼ってて自分じゃ何も出来ないじゃないかと少しばかり自己嫌悪に陥らないわけでもない。
そんなことを思わず言ってしまった後で、あちゃーやっちまったと後悔。こんなん人前で言う言葉じゃなかった、と内心焦っていると、隣からフッと笑う微かな声がして
立)「いいんだよ。Aを守ってやりたいって思ってる奴らが勝手にやってることなんだから」
「そいつらにとっちゃ、お前に何かしてやれるのは嬉しいことなの」だなんて。
強く傘に打ち付ける雨音に遮られることなく、しっかりと届く立花さんの声に、とても気持ちが軽くなった
*
『Mなんですか、その人達』
立)「一部はね」←
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