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『三、途河さん?』
恐る恐る声をかけると、こちらに振り返った
彼女。最初に出会った頃と比べて、やつれて
見えるのは気のせいなのだろうか。
ほお肉が少しこけ、隈がくっきりと濃くできて
いた。煙草のせいじゃないのか?
『三途河さん、自分の体、大切にしなきゃ
ダメですよ?』
というと、彼女は寂しそうに微笑んだ。
彼女は綺麗だった。
煙草の火を消し、マスクをした。
静かにこちらに歩いてくると、
三途河「疲れてません?顔色が悪いですよ?」
と、こちらを心配した。
いつもの彼女だった。でも、あんなにやつれた
彼女を見てからだと、労られるのが少し
後ろめたかった。
悲しくなって、走って部屋を出た。
向こうからすると何故かわからず、
傷ついているかもしれない。あ、やっぱり。
Aさん!と、呼んでくれている。
三途河さん、貴方優しすぎる。
自分のことを放っておいて、他の人を気に
かけて。疲れたストレスは煙草なんかで解消
して。自分をいじめるのを楽しんでいるみたい。
自暴自棄になって。それなのに人に気づかせ
ない。少したりとも。いつも神経を張り詰め
させて生きているに違いない。
私は馬鹿だ。迷惑をかけて。相手の負担も
知らずに。
高「なーにしてんの。」
あぁ、今会いたくなかった。
どうか、手で覆って隠している顔を見ないで。
いつもより真面目に聞いてくるから、余計に
怖かった。
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作者名:冴岼 | 作成日時:2022年2月28日 20時