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「警察に届けだけ出して
俺が預かるのは駄目かな？」
静まり返った診察室内でそう言いだしたのは北斗さんで
私と医者は目を丸くして彼を見つめた。
何者かもわからない女を引き取るなんて何を考えているんだと
自分の事ながら驚きが隠せなかった。
「可能ではあると思うけど…
異性とひとつ屋根の下ってのは、
第一お前…」
「大丈夫だよ、彼女さえよければだけど
部屋は余ってるし。」
「そうは言っても、」
「じゃあ雇うよ。
住み込みのお手伝いさんならいくらでもいるだろ？」
なんて無茶苦茶ない言い分何だと固まっていると
震えている両手が温もりに包まれて、視線を落とすと
北斗さんはしゃがんで私の手を固く握りしめていた。
「うーん、まあ掛け合ってみるけど
家族さんにも相談するんだよ。」
そうだ、彼は好恵さんの旦那さんなんだ。
だったらなおさらお世話になるのはまずい、
だからといって警察に保護されるのもまずいし
なんて考えがループして、今にも頭から湯気が出てきそうだ。
「どうかな？」
「えっと…いやぁ…」
「遠慮してるんだったら気にしないで、
ちょうど人手が欲しかったし。」
「嫌でも家族さんとか…」
「離れて暮らしているから大丈夫。」
単身赴任という事だろか、
いつまでも答えを出さない私に痺れを切らしたのか
私の手をそっと離して北斗さんは立ち上がった。
「とりあえず今日一日泊ればいいよ
それで居心地が悪かったら、その時考えよう。」
「北斗くんは一度決めたら頑固だからね
一日だけお世話になったら？」
少し強引な北斗さんに加えて医者にまでそう言われたら
行く当てもなく、まだこの状況を飲み込めていない私は
縦に深く頷くことしかできなかった。
「決まりね
松村北斗、しがない小説作家です。」
「過小評価だなぁ、
記憶が戻ったらきっとびっくりするよ
日本じゃ知らない人はいない有名な作家なんだから。」
北斗さんは少し照れたように頭を掻くと
私に右手を差し出してきた。
遠慮がちに自分の左手を差し出すとまた強く握られて
小さく上下に揺らすとまた胸が苦しくなった。
何だろうこの感覚は、
ときめきや好意からくるものとはまた違った
ぞわぞわした感覚が押し寄せて来て
北斗さんの顔を直視することができなかった。
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あかね(プロフ) - とっても面白かったです！良かったら解説お願いします！ (2022年1月31日 1時) (
レス) id: 608a572f89 (このIDを非表示/違反報告)
ぽめじろう(プロフ) - coccoさん» ありがとうございました！そうなんです、名前を変えて暫くはこちらでお世話になることになりました！また読んでいただけて嬉しいです！ (2021年12月27日 8時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぽめじろう(プロフ) - hohoさん» 読んでいただきありがとうございました。暫くはこちらのアカウントで書きますのでよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年12月27日 8時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぽめじろう(プロフ) - ハルさん» 初めまして！読んでいただきありがとうございました。楽しんでいただけて嬉しいです！ (2021年12月27日 8時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
cocco(プロフ) - 読み進めていくうちにどんどん引き込まれていく感じがぱぐたろう様に似てるな〜と思っていたらまさかのご本人様でした… ; ; ぱぐたろう様ロスだったので今作に出会えて嬉しいです。おかえりなさい！であってるかわかりませんが言わせてください！おかえりなさい！！！ (2021年12月25日 2時) (レス) @page42 id: 4774ec4c1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽめじろう | 作成日時：2021年12月21日 21時
