油断大敵4(フョードル) ページ4
「・・・いえ、貴女に無理させてしまった私にも責任はありますから」
フョードルの珍しい言葉に、私は目をぱちぱちと瞬かせた。今日のフョードルは、何時にも増して優しい気がする。
不意にずきりと、頭に鋭い痛みが走った。思わず呻き声を上げた私を、フョードルが不安そうな瞳で見つめる。
そして、何を思ったのか私の前髪を上げ、私の額に自分の額を密着させてきた。
何時も体温が低いフョードルの額は、冷んやりとしていて気持ちが良かったが、どっと顔から火が出そうな程、熱くなったのが分かった。
「凄い熱ですね。何か冷やす物でも持ってきましょう」
口を金魚の様にパクパクと開ける私を余所に、フョードルは、私の頭を一度優しく撫でると、部屋を出て行ってしまった。
この幻の様な出来事に、私は暫く呆然としていたが、ようやく我を取り戻し、横になって布団を頭から被った。
これは夢?風邪で朦朧とする意識が見せた幻?
暗闇の中、回らない頭で必死に考えるが、数分後に戻ってきたフョードルを見て、夢なんかではない事が分かった。
戻って来たフョードルの手には、水で満たされた小さめの桶とタオルが用意されていた。
フョードルは、それらをベッドの脇にある机の上に置き、水でタオルを濡らす。ぽたぽたと水の滴る音が、静かに部屋に響く。
「・・・久しぶりですね。貴女とこうして二人きりになるのは」
フョードルが、俯きながらタオルを絞りつつ、ぽつりと言った。
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テツ(プロフ) - 宵の明星さん» わざわざ見に来て下さって有難うございます・・・!これからも更新頑張ります! (2018年4月7日 17時) (レス) id: d776172fc0 (このIDを非表示/違反報告)
宵の明星 - Twitterを見て、此方へ来ました。薄々、思ってはいたのですが真逆のご本人だったとは……。別人だと思っていました。私も小説を書いているので、宜しければ見て下さい。更新、応援しております。 (2018年4月7日 16時) (レス) id: 960304c1ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テツ | 作成日時:2018年3月7日 0時