〈文スト 〉口付けは蜜よりも甘く

貴方に溺れて6(太宰) ページ15

＿＿＿＿仕方ない。これも、国木田さん・・・否、探偵社の為だ。
私は二人に聞こえないくらいの声で、囁く様に言った。
「・・・・・・治」
一瞬、電話の向こうが静かになる。
『・・・何か、エロい』
開口一番に、太宰さんがとんでもない事を言った。
「エッ・・・！！？ふっ・・・巫山戯ないで下さい！！殴りますよ！！？」
恥ずかしさを自分で誤魔化そうとしているのか、無意識のうちに、机をバンと叩いてしまう。
『今絶対、狙って言ったよねAちゃん？』
「狙ってません！！無意識です！！』
『無意識で言っちゃうのも、如何かと思うけれどねェ。・・・まあ、今夜は期待しとくねAちゃん』
太宰さんは『じゃあね〜！』とだけ言い残して、通話を切ってしまった。
「あっ、ちょ、今夜って如何言う意味ですか太宰さあん？！！」
慌てて問い質そうとしたが＿＿＿＿時既に遅し。完全に通話は切れていた。
わざわざ掛け直してまで、訊く程では無い。後十分もあれば、社に着くだろうから。
私は溜息を吐いて、携帯を懐に仕舞った。

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