〈文スト 〉口付けは蜜よりも甘く

クイズは好きかい？10(ゴーゴリ) ページ34

「・・・子供みたいな奴」
一人部屋に取り残された私は、クスリと笑った。
「却説・・・と」
クローゼットを開け、一着一着服をじっくり手に取って見る。
仕事用の服は、流石にナンセンスだ。それに、洒落気が無い。かと言って、極端にお洒落な服も着たくは無い。
否、こうして迷っている時間も勿体無い。ゴーゴリと一緒に過ごせれば、それで良いのだ。
そう思った私は、適当に衣服を選んで着ると、顔を洗い、髪を整えた。
身支度を終え、私が部屋から出るのと同時に、誰かが抱きついてきた。
「ばぁ！驚いた？」
それは、先に行っていた筈のゴーゴリだった。
「あれ？先に行ったんじゃないの？」
「いやあ、行こうと思ったんだけど、Aちゃんと一緒に行きたいなぁって、思って」
えへへとはにかんで笑うゴーゴリは、道化師でも、天人五衰でもなく、ただの無邪気な好青年の様だ。
その無邪気な笑みにつられ、私も笑ってしまう。

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