第七百九十五訓 ページ29
うぅー、と悶々としながらも早く船に乗り込み治療を受けなければならないのも事実。
…………だからせめて、
『______高杉、』
勝手だけど、お願いだから……無事で居て欲しい。
______ふわ、
高杉「!」
『忘れ物だよ……まあ、元々君のものなんだけど』
ふわり、と神威に背負われている高杉の頭から紺色の羽織を被せた。元々彼のものであったそれは、私が着た事で私が使っていた柔軟剤の匂いがして。
『あんまり汚れないようにしたけど、そもそもこの戦い起こしたの君だから血とかついてても文句言わないでよね』
「……お前、」
『どう使ってもいいよ、君のものだし。今だったら止血とかに使った方がいいんじゃない?』
でも四章からずーっと持ってたからなぁ、随分と長い間預けられてたもんだね。
(…あと高杉が兄弟子だと知った時からずっと言いたかったことがあるんだよね。まあ高杉っていうかその左目に)
『それと…ずっと言いたかったけど、』
「……は、」
私は少しだけ背伸びをして___
____ちゅ、と彼の閉じた左目の瞼にキスをした。
「な、は……お前、」
目をこれでもかと見開く高杉にふわりと微笑む。
『ごめんね、何年間も一人で苦しませて。そして自分を責めないで。
どうせ君の事だから自分のせいにしてたんだろう、私の自 殺癖も身から出た錆なのに自分がやったと思ってたんだろう。
冷酷そうに見えてそういうとこだけ繊細なんだから。自己評価低いし、私なんかより高杉の方が自己犠牲が激しい気がする。
「……っ、」
『だから約束してよ、死なないってさ……その無愛想な面、また私に見せに来て。死んだら殺すから』
「…………そうかよ」
すると…ふっ、と高杉は心底面白そうに笑った。
と思えば_____がしがしっ、と頭を撫でられた。不器用に、優しく。小さい頃夢見ていた様な手つきで。
「ならお前が死んだら……俺が後でも追ってやろうか?そっちの方がお前には応えるだろ」
『それは死んでもゴメンだね』
何はともあれ、羽織りも借りてた恩も返した。
後は_____お互い、死ななければいいだけ。
ー
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RENKA - 初コメ失礼します、感動しました号泣です涙止まんないです!!心がキュンキュンしました!!もうキュンキュン通り越してギュンってなりましたよ!← これはホント何回みても飽きないですマジで!!最高っす!!!ってことでちょっともう1回読んできますね(( (2022年7月5日 11時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 涙止まんなすぎてバスタオルで拭きました最高ですめっちゃ感動しました!!!!! (2022年7月4日 21時) (レス) @page41 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - イルさん» 将軍暗殺篇はこれにて閉幕です、NEXTとしてはさらば真選組編ですね!!ハンカチのご用意を……w結構心理描写が精神的に来るものがあると思われますです……更新頑張ります!将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雑草のかきあげ(仮垢)さん» 最初からw!?!かなり長いですよ!?w大丈夫ですかほんと無理しないでねw!?!更新頑張りますw将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - つなかんさん» いやこちらこそぎゅんぎゅんして頂いた様で(?)良かったです、更新ノロマですが宜しくお願いしますw!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2022年5月3日 15時