【銀魂】空から女の子が降ってきました。20

第七百八十二訓 ページ16

目を見開いてそのまま固まっていれば、そんな私達をせせら笑う様にして老人は言葉を続ける。






「此度の働き誠に大儀であった。よくぞ茂茂公を賊から護り抜いてくれた。そなたらこそ、真の忠臣達だ」






はぁ、は、と息が荒くなる。呼吸がしづらい。天導衆の目的だとかここにいる理由だとかは今はただどうでもよかった。


天導衆(お前ら)がただ、一橋を潰す上での暫定政権にしてきた将軍(玩具)をどう扱うか。私が気になるのはそれだけだ。






(将ちゃんは、将ちゃんはどうなる。この優しい将軍を暫定政権として操っていたお前らが介入してきた……お前らは彼を、どうするつもりなんだ)






＿＿＿まさか、一橋派と将軍派をぶつけて消耗しきった所を一気に叩く漁夫の利を狙っていたのか？


全てを知った上で高みの見物を決め込みこの機を伺っていたという訳か？一橋派が、邪魔だから。いっその事全員殺そうと？


確かに天導衆ならば代わりの将軍とは名ばかりの玩具を……操り人形を準備する事も容易いだろうし、そうすれは今後も江戸の情勢を把握し操れる。






「だがそなたらの役目もこれで終わりだ。茂茂公の身柄は我々が保護しよう。安心せよ、後の事の一切は我々に任せておけばいい」






…嗚呼、どうするべきか。それに気づいたら急に憎しみが湧いてきた。

殺意が体中をぐるぐると駆け巡る。憎い、先生だけでなく私達の国までをも奪うつもりか。






『お前らに将ちゃんを任せられるわけないだろ。定々の一件でお前らは一橋派を敵対派閥、将ちゃんを暫定政権(操り人形)と見た。

そしてこんなになるまでだんまりを決め込んだ……そんな卑しい連中が今更将ちゃんを保護？巫山戯るな』



全蔵「一橋派の次はアンタらの言う事聞かねぇ将軍まで何とかしようってんじゃねェのか」






死肉を食らう忌々しい糞烏共が。その黒い翼を折って剥いで二度と飛べなくしてやろうか。


そうして殺気を放ちながら天導衆に睨みつけるが、老人からその気持ち悪いにやけヅラが消えることは無い。






「一橋派を潰す？何のことを言っているか解せぬが……我々は一橋公に恩はあれど敵対した覚えはない。茂茂公、貴殿も彼に感謝すべきだ」






(…彼……？誰の事、だ？まさか一橋の当主の…一橋喜々の、事か？そいつに天導衆が感謝？どういうことだ？敵として見てたんじゃ、)






……嫌な予感が、頭をよぎった。










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