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17、雷と ページ18

屋上を後にして教材を取りに教室に向かっていると

遠雷が聞こえた。

さっきまで近くは晴れていたはずだし、微かに音が聞こえるだけだ。

まだ耐えられる範囲。

さっさと教材を取って翔の部屋へ向かおうと足を速めた。

―――――

「―――ない」

授業が終わったときは確かに此処に入れた筈。

だがいくら探しても見つからない教科書、

誰かに貸していただろうか?

どうも心当たりがない。

「どうしたんですか、そんなに焦って」

普段なら気付くはずの距離にトキヤは居た。

確かに私は焦っている。

先ほどから10分は経っているだろう。

雷の音と光の間の時間が詰まってきている。

「私の教科書がないんだ」

「お手伝いしますよ」

返事はすぐに帰って来た。

御人好しな奴だ。私なんかほっておけばいいのに。

「有りましたよ」

トキヤが居たのは教卓の前。

そんな所から私の教科書が見つかるだろうか、

「有り難う。でも何で、」

「クラスの女子が貴女の机を漁っているのをふいにみかけて。」

成程。

「そうだったんだ。次からは教科書を取られないように気をつけなくちゃね」

ふんわりと笑みを浮かばせて見せる。

「何故、悲しそうな顔をしないんですか」

もう此れには慣れっこなんだ。

「苛められているんですよ」

「知ってる。」

「なら何故、」

「何でかな。私が聞きたいくらい」

もう止せ、私に関わるな。同情するな。心配なんてするな。

「なにかあったら私に相談してくださいね。貴方の味方ですよ。」

「うん、有り難う」

精一杯の笑顔で返答する。

味方って何だ。

本当に善意の塊の人間なんていない。

完璧な見方なんて存在しない。

偽の善意なんて押し付けるな。

「では、また明日」

その言葉を最後にトキヤは教室を後にした。

――――――――――雷を伴って。

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作品ジャンル:恋愛
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Minalica(プロフ) - レンは、日向先生のこと先生と言わない。リューヤさんと言う。 (2014年9月20日 20時) (レス) id: d084529401 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - うおい! (2013年5月15日 17時) (レス) id: 931baf617c (このIDを非表示/違反報告)
璃玖 - えー? じゃあ今送るぜっ! (2013年5月14日 18時) (レス) id: 1ad39cca72 (このIDを非表示/違反報告)
すいか - メール来てなかったよー? (2013年5月14日 16時) (レス) id: 931baf617c (このIDを非表示/違反報告)
璃玖 - 明日、龍也さんの誕生日じゃない? (2013年5月14日 13時) (レス) id: 1ad39cca72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:1mm差コンビ | 作成日時:2013年3月30日 19時

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