【実iｼ兄i者】どうにかしてください。【fj】

幼馴染み　27。 ページ28

『………え、』


あぁ、神様。
こんなの、望んではいないんです。


＊＊＊


『フジくん、私明日休みなんだ。』

「えっ、ほんと！？」

『うん、だから出掛けない？』


キラキラと目を輝かせる彼の返事はわかりきっているけれど、どうかな？尋ねれば笑顔で

「もちろん！！デート行こっ！Aから誘ってくれるなんて俺すっごく嬉しい！！」

やっぱりそう言ってくれるから。私も嬉しくて笑顔になった。



迎えた翌日。どこに行こうかと思ったが、急な休みだったものでいく宛もなく、けれどまだもう少し家具が欲しかったので大型ショッピングセンターに行くことにした。


ソファーに欲しかったクッションや新しい柄のカーテン。
いくつか目的の物を買って、(もちろん一緒に選んだ)ゆっくりとお茶でもしようかと思っていた矢先。


「あれ？釧さんじゃないですか」

『…………あ、山下さん？』


目の前に、交渉先の彼。隣にフジくんはいたけれど、声をかけられた反射で返してしまった。
なんでここに、邪魔だと心が叫ぶ。目の前でにこやかに微笑む彼の笑顔に、何人かの女性が釘付けになっているのはすぐにわかった。


あぁ、フジくんがいるのにな。
ちらりと横目で確認すると彼は無表情に私の隣に立っていた。


…でもわかるのだ、焦っていることに。怖がっていることに。ごめんね、すぐに話終わらせるから。


では、と会話を終わらせてやりたかった。のに、彼は簡単じゃなかった。

「あれ、その方お兄さんですか？」

「おに…いさん…」


やめて、この人嫉妬深いんです。
そんな事言わないでください。


『兄じゃないですよ、山下さん』

「あれ？じゃあ彼氏、…とかですか？てっきりもっとかっこいい人かと…」

『……え』


なにを言ってるんだろう。確かに、所々で自分はかっこいい発言をしてくる人だったけど、ここまでばっさり言っちゃうとは。

……私の気分も悪いなぁ。

彼が悲しそうに目を伏せたのがわかった。やめて、


『……彼氏じゃないです』


「！…A…？」



ごめん、そんな絶望したみたいな顔しないで。









『………大好きな、将来旦那です』


ちゃんと、否定するから。




では、と今度こそ会話を切って、困惑した山下さんから離れる。フジくんもきょとん、としていたので笑ってやった。


『ごめんね、デート再開しよ？』

「あっ、えっと…おれ、………っ、もう好きー…」


ありがと、と笑った君が一番だいすきなんだ。

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