【実iｼ兄i者】どうにかしてください。【fj】

幼馴染み　20。 ページ20

「ねぇ、Aっ」

『何？フジくん』

「今日は外にご飯食べに行こう！」

『うん、良いよ。』


私達がちゃんと気持ちを伝え合ってから約1週間。
普段と変わらない日々を、二人で過ごしている。そんな日常の中で、変わったと考えれば全てフジくんの事。

スキンシップが更に増えた事。
嬉しそうに好きだと伝える事が増えた事。
私が仕事に行く時の寂しそうな顔が今までより酷くなっていたり。


全てフジくんの事な上に、増えたりしたぐらいなのであまり変わらない。
だからこそ、この久しぶりの外食の誘いに少し驚いたと言うのはあながち嘘では無いのだ。


『珍しいね、外食なんて。』

「そう？最近俺がご飯作ってたから飽きちゃったかなーって思って」


柔らかな笑顔を浮かべて私に言う。
飽きるなんてそんな事ある筈がない。
彼の手料理を初めて食べた時は感動したものだ。正直、私よりも上手いんじゃないかと思っているくらい。

そんなフジくんの料理を、飽きる訳がない。
そのままの事を素直に伝えれば、少し驚いた顔をしたけれど、すぐに照れたようにはにかんだ。


『あはは、フジくんが照れた』

「き、急に褒めるからだよ…」


嬉しいじゃんか。
そう呟くフジくんの声が耳に届いた瞬間、伝染した様に私も顔が熱くなる。


それ位でこれ、って私もまだまだ弱いな。

「……あっ！Aっ！そろそろ会社に行かなくちゃいけない時間だよ！？」

『えっ！？…あ、ほっ、ほんとだ…！？』


今度は彼の声で意識が現実に引き戻されてしまった。
ゆっくりと外食の事を話していたのに。休んでしまいたい衝動にかられるけれどん此処は頑張らなければ。


『……じゃあ行ってくるね！』

「あ、ちょっと待って。ストップ！」


慌てて靴を履いて、服を正し家を出ようとする私の腕をフジくんは掴む。
驚いた私の体を回転させ、向き合うようになった状態になりフジくんは笑う。


「いってらっしゃい」


ふと、額に暖かく柔らかい熱がふってきた。
一瞬何か分からなくてフジくんを見上げるだけだったが、もう一度しようと彼の顔がゆっくりと落ちてきた時全てを理解し顔が急激に熱を帯びる。


『いっ、行ってきます！！』


最初の声が裏返ってしまったが気にしない。
その熱を冷ますように私は会社へと走り出した。

きっと家の中ではクスクスと笑う彼が居るのだろう。


『あぁっ、もう！』


あんなの、反則だ。

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