【実iｼ兄i者】どうにかしてください。【fj】

幼馴染み　18。 ページ18

『ふっ、ふじ…くん！？』


悲しそうな顔をした彼は、黙って私を抱き締めた。
突然の事で、びっくりしてしまう私。熱い頬が更に熱を帯びるのがわかってしまう。


ぎゅっ、と抱き締める力を強くされた。


『フジくん…？』

「………。」


呼び掛けても、答えてくれない。
ただ、その肩は震えている。


なんでだろう。嫌な事でもあったのだろうか。
悲しい事でもあったのだろうか。



わからないけど、


『大丈夫だよ』


そう優しく言って、私はﾎﾟﾝﾎﾟﾝと背中を撫でる。
すると少し安心したのか、ゆっくりと顔上げたフジくんは、



「高橋くんって誰？」



そう、少し濡れた瞳で私に問いかけた。
そうだ、フジくん聞いてたんだった。


けれど、そこまで泣く事は無かろうに。
苦笑しつつ、質問に答える。



『昔好きだった人』

「今は？？」

『好きじゃないよ。』

「じゃあ誰が好き？？」



うっ、と思わず言葉に詰まる。
誰、って……貴方ですが。


なんて死んでも言えませんので。
それは答えまいと逃げようとしたら、


「………。」


『………っ、』


酷く悲しそうな目と見つめ合ってしまう。
なんでそんな目をするの。


そんなの気にせず、攻撃してきたらいいのに。
何か言われてもそれでもいつもフジはついていくんでしょ？


「じゃあ俺は？？」


『………ぇ…』



「俺は……好き？」



答えて。と小さく彼は言った。


普通なら答えないのだけど。
その顔が、私の言葉をすごく待ってて。



多分、これを言ったら私の一生が決まっちゃうんだろうけど。
鎖に繋がれちゃうんだろうけど。



その鎖を絶ちきる事は出来ないから。
だって私も好きになっちゃったし。



だから、その鎖に。



『フジくんは？』



私が、


「……俺は、……すごく、好き。うん。すごく」





鍵をかけてあげましょう。




『私もフジくんが凄く好きだよ』

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